「世界一美しいサメ」小型バッグに近大生ら開発 東北を後押し

宮城・気仙沼のサメ革を使ったバッグ(アトリエシャーク提供)
宮城・気仙沼のサメ革を使ったバッグ(アトリエシャーク提供)

東日本大震災の被災地支援を続けてきた神戸の男性と近畿大の大学生が、サメの水揚げ日本一を誇る宮城県気仙沼市産のヨシキリザメの革を使った小型バッグを共同開発した。手触りが良く、しなやかで丈夫なバッグには、災害時にも役立つ機能も盛り込んだ。商品開発の理念は国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)にも合致。防災や環境問題を問いかけるバッグになっている。

鮮やかな青色から「世界で最も美しいサメ」と呼ばれるヨシキリザメ。世界中に分布し、日本では太平洋沖合に生息する。

高級食材フカヒレの原料で、古くから三陸地域とつながりが深い。革は軽量で水ぬれに強く耐久性に優れるが、加工の難しさなどから、その多くが廃棄されていた。

今回の小型バッグ開発のきっかけは、近大短期大学部の頭師暢秀(ずしのぶひで)准教授が、神戸市内で会社を経営する旧知の時井勇樹さん(31)にゼミへの協力を打診したことだった。

サメ革の小型バッグの商品企画を手がけ、完成を喜ぶ大学生たち=令和3年11月、大阪府東大阪市の近畿大学
サメ革の小型バッグの商品企画を手がけ、完成を喜ぶ大学生たち=令和3年11月、大阪府東大阪市の近畿大学

時井さんは大学3年のときに東北の被災地でボランティア活動を経験。「復興を経済活動で支えたい」と平成28年、気仙沼のサメ革製品ブランド「アトリエシャーク」を立ち上げた経緯がある。

頭師さんは、商品の共同開発で被災地振興を目指すとともに、廃棄される素材の有効活用はSDGsの達成にも貢献できると判断。ゼミ生12人は令和元年秋から約半年間、市場調査などで商品のアイデアをまとめ、米ニューヨークでの展示会に出展を目指したが、新型コロナウイルス禍が直撃し、企画がストップ。昨年11月、ようやくニューヨークで展示会が開かれることになり、再び製品化へと動き出した。

海をイメージした青と洗練された黒の2色展開で、本体には丈夫なナイロン生地を組み合わせた。厚さ約1・5センチの薄型で、重さ約230グラムと軽量だ。被災地にゆかりの深い商品だけに、防災も強く意識した。ショルダーストラップには、命綱にもなる強度を誇る「パラコード」を採用。ファスナーの引き手には緊急ホイッスルも付けた。

紆余(うよ)曲折を経て商品化に至ったバッグだが、開発に携わったゼミ生はすでに短期大学部を卒業。昨年11月下旬、キャンパスで初めてバッグを手にすると、感慨深げな表情を浮かべた。

「コロナ禍を乗り越え、商品化できるとは思っていなかった。物があふれる時代だからこそ、被災地支援に込めた思いを伝えたい」と元ゼミ生の谷岡維織(いおり)さん(21)。

内ポケットなど女性目線での提案にこだわった東幸音(ひがしゆきね)さん(21)も「大量生産できない天然レザーのバッグは、自分だけの品として長く使ってもらえる」と笑顔をみせた。

バッグは米国での反応を受けて改良した。時井さんは「ファッションだけでなく、環境問題や災害にも関心が高い若者たちに、商品に込められた被災地のストーリーを伝えていきたい」と話している。

定価2万2880円。14日からクラウドファンディングサイトのMakuake(マクアケ)で割引販売する。問い合わせはアトリエシャーク(info@atelier-shark.com)。

(石川有紀)