静岡県熱海市伊豆山(いずさん)地区で発生した大規模土石流災害の原因や責任の究明のため同市議会調査特別委員会(百条委員会、稲村千尋委員長)が求めていた、土石流起点付近の盛り土造成をめぐる行政手続き関係の公文書開示について、県がこれまで黒塗りとしていた部分も全面開示して市議会側に送付したことが13日、分かった。
百条委が特に求めていた盛り土の土地の現旧所有者や工事施工者、また行政手続きに関与した県や市の職員といった個人情報に関して県は13日、個人名や役職、会社名、所在地まですべて開示したという。
市は既に、コピー不可などの条件を付けた上で、百条委委員に限った全面閲覧を認めていた。県も、方法については市に準じるよう市議会側に要望している。
盛り土の行政手続きに関する文書は県と市が昨年10月、個人情報保護の観点などから事業者名などを黒く塗りつぶした上でホームページなどで公開。百条委は、証人喚問や参考人招致のためには事業者名や所在などの情報が必須として12月末、県と市に全面公開を要請していた。
百条委は2月に参考人招致、3月にも証人喚問を行いたい考え。県や市の情報開示を受け、対象選定や、連絡の準備を進める。
一方、県は現旧所有者に昨年12月、独自に聞き取り調査を実施した。関係者によると、旧所有者の不動産管理会社の元幹部は、土砂を運んだのは別の業者だとして詳しいことは分からないと主張。現所有者は、自身が土地を取得して以降は盛り土をしていないなどと説明したという。
県は実際に工事を行った事業者には今年度中に、工事内容や危険性の認識などについて聞き取り調査を行う意向だが、今のところ接触できていないという。