埼玉県内で12日、547人の新型コロナウイルス感染が確認された。県とさいたま市、川口市、越谷市、川越市が発表した。1日当たりの感染発表数が500人以上になったのは昨年9月15日以来。直近1週間の平均は309人で、前の1週間の平均(28人)の11倍超に達した。大野元裕知事は12日の記者会見で、感染状況の悪化を踏まえ、県内の保健所の職員数を一時的に増員するなどの措置を講じたと明らかにした。
埼玉県内での感染発表数は今月に入ってから急激な伸びを示している。
先月は1桁の日がほとんどで、多い日でも十数人にとどまっていたが、今月3日は21人、4日は38人、5日は82人と日を追うごとに増加し、6日以降は1週間連続で3桁となった。
感染者1人が何人に感染を広げるかを示す「実効再生産数」は4日時点で1・77だったが、11日には6・44にはね上がった。
感染拡大の要因とみられるのは変異株「オミクロン株」だ。県によると、ここ数日で確認された感染者の一部の検体を調べたところ、ほぼ全てがオミクロン株の疑いがあるという結果が出た。
大野知事は記者会見で「オミクロン株の感染拡大ペースに鑑(かんが)みれば、今まさに徹底した感染拡大防止対策が必要だ」と強調した上で、県民に対し、県境をまたぐ移動の際は目的地以外に立ち寄らないようにすることなどを呼び掛けた。
また、県内の13保健所に計30人の県職員を応援要員として配置し、これとは別に人材派遣会社のスタッフ120人を事務職員として置くと明らかにした。
自宅療養者の健康観察などを行う「宿泊・自宅療養者支援センター」についても、業務委託先を現在の2社から3社に増やし、対応人数を約1・8倍の3万2千人にするという。
感染拡大で打撃を受けた飲食業の支援策「Go To イート」の食事券販売を13日から一時停止するとともに、観光業界を支援する県のキャンペーンを中止や延期とする方針も表明した。(中村智隆)