主張

北の弾道ミサイル 中露の「肩入れ」は許せぬ

北朝鮮がまたも、日本海に向けて弾道ミサイル1発を発射した。

5日のミサイル発射を受けてニューヨークの国連本部では安全保障理事会の緊急会合が招集された。これに先がけ、米英仏など米欧の5理事国と日本の代表が「弾道ミサイル発射は安保理決議に明白に違反する」との非難声明を読み上げた。

そのタイミングを見計らったような重ねての暴挙であり、決して容認はできない。

だが、世界の平和と安全を希求する声に金正恩朝鮮労働党総書記は聞く耳を持たない。北朝鮮の核・ミサイル開発を断念に追い込むのは国際社会の一致した圧力だけだと改めて認識すべきだ。

米インド太平洋軍は今回の発射は弾道ミサイルであるとの認識を示した。日本政府によるとミサイルは約700キロ飛び、排他的経済水域(EEZ)外に落下した。

韓国軍合同参謀本部は、今回のミサイルがマッハ10に達し、5日発射のミサイルより「進展した」と指摘した。

北朝鮮は昨年9~10月にも集中的にミサイルを撃っているが、対米牽(けん)制(せい)などの政治的な思惑とは別に、それぞれの発射に技術向上の狙いがあるとみるべきだ。

北朝鮮のミサイルは多種多様化し、日本への脅威は増大した。敵基地攻撃能力の保有を含め、防衛力強化を急がねばならない。

安保理は、肝心の会合では声明の発表に至らず、北朝鮮に対して一致した姿勢を示すことができなかった。中国とロシアが反対したためだという。

安保理決議は北朝鮮による弾道ミサイルを禁じている。そして、北朝鮮が弾道ミサイルを発射した事実に議論の余地はない。決議違反と認定しないのは、どう理屈をつけてもおかしい。

こうした安保理の不条理な実態が北朝鮮への圧力を損ない、安保理の権威を揺るがせている。

安保理は昨年9~10月の北朝鮮のミサイル発射に対しても、中露の反対で、一致した声明をまとめることができなかった。

米国と中露の対立は激化し、台湾とウクライナで緊張が高まっている。

北朝鮮がこうした情勢を踏まえて強気に出ている可能性もある。中露が北朝鮮の核・ミサイルを対米戦略の駒に利用しているなら、もってのほかだ。