コロナ禍の就活「ガクチカ」どうする 不安抱える大学生

「ガクチカ」。大学生の就職活動で定番の質問である「学生時代に力を入れたこと」を略した若者言葉だが、新型コロナウイルス禍で憂鬱(ゆううつ)な響きを帯びるようになった。サークル活動やアルバイトが制限され、アピールポイントを見いだせない学生が増えているためだ。新たな変異株「オミクロン株」を主流とした第6波が到来するなか、新卒採用の本格的なスタートに向けて不安を抱えながらの準備を余儀なくされている。(玉崎栄次)

「PRできない」

「コロナ前に、もっと有意義な過ごし方があったかもしれない、と考えてしまう…」

IT業界を志望する東京都内の私立大3年の男子学生(22)は企業研究に励むなかで、こう後悔を口にした。コロナ禍で授業はオンライン中心となり、大学は入構が制限された。1年生のとき、友人たちとビジネスアイデアなどを研究するサークル活動を立ち上げたが、その交流もほとんどできなくなった。

採用選考の面接では、学生時代にチームで取り組んだ経験を尋ねる質問は定番だが、この男子学生は「自信を持って頑張ったとアピールできる『ガクチカ』を見いだせない」と語る。

事実、就職情報会社のディスコが昨年11月に大学3年の約1千人を対象に実施した調査では、コロナ禍で「自己PRに困る」と回答した学生は47%と半数近くに上り、前年の学生よりも9ポイントも増加していた。

大学に入学したものの十分なキャンパスライフを送れていない1、2年生も例外ではない。都内の私立大1年、村上和輝さん(19)は「先輩との交流もなく、就活に向けて何をすればいいのか」と不安がる。

企業も接点模索

令和5年3月卒業予定の大学3年生の多くは、昨年6月ごろから企業のインターンシップ参加や業界研究を開始。今年3月から企業説明会への参加やエントリーシートの提出が始まり、早ければ3月中に内々定を得る学生も出てくる。

一方、企業側もコロナ禍で学生側とコミュニケーションの機会創出を模索している。例えば、明治安田生命保険は昨年夏、仮想現実(VR)を活用したインターンシップを企画。約900人が端末上で自分たちの分身となって動く「アバター」で参加し、ウェブ会議システムと併用してグループワークなどを行った。

東京の本社で対面で開催していたコロナ前に全体の約3割にとどまっていた地方からの参加者は、約6割に倍増。移動や宿泊にかかる費用が抑えられることで、地方在住者の参加を促したとみられ、コロナ禍を前向きに捉えている学生も少なくないことが分かる。

採用を担当する人財開発グループマネジャーの北島孝俊さんによると、面接でも、対面での活動が困難となった状況をオンラインなどで工夫して乗り切ったというエピソードを語る学生が増えたという。北島さんは「課題に対してどう創意工夫したのか、その中身やプロセスを見ている」と選考のポイントを語った。

リクルートマネジメントソリューションズの飯塚彩・主任研究員の話「『ガクチカ』を考えるためには、2つのポイントがある。1つ目は『自分の人柄を相手に伝える上で、これだけは外せない』という原体験を振り返ることだ。

『サークル活動でリーダーシップを発揮した』といった華々しい経験でなくてもかまわない。例えば、大学受験で進学先を決めたり、同級生との交流で考え方が変わったり、小中高校時代の体験でもいい。自身で何かを判断したり、意志を持って行動したりした経験を書き起こしてほしい。

面接ではそのエピソードを対話のなかで掘り下げていくので、内容をどう整理するかが2つ目のポイントとなる。時系列に具体的なシーンを挙げ、それぞれの場面でどう考え、どう行動したのか、その結果をどう受け止めたのか。順序立てて論理的に説明する力が求められるため、訓練しておくことが重要だ」(談)