一筆両断

どんな歩道が素敵? 福岡・天神明治通りのデザイン

松岡恭子氏
松岡恭子氏

歩きやすいな、歩きたいなと思う歩道が身近にありますか? 目的地点に行く経路がいくつかあるとき、どんな道を選びますか? 歩行空間には舗装材、街路樹、電柱と電線、点字ブロック、花壇などが混在しています。適度な幅があり、夏には木陰が生まれ、ガタつきのない舗装、建物の1階に素敵(すてき)なお店があるのも選ばれる点かと思います。

私が手がけた歩道デザインの一つは、福岡市の天神明治通りです。といってもまだほんの一部分しか完成していませんが。天神の大規模再開発「天神ビッグバン」の主体を担う天神明治通りまちづくり協議会(略称MDC)のコンサルタントを、令和2年春まで5年間務めていました。その間の提案にはいまだ実現できていないものも多々ありますが、一つ形になったのが昨秋オープンした天神ビジネスセンター前の歩道です。

MDCでは各建物の低層部に誰もがアクセスしやすい用途を入れ、歩道を新しいデザインに変えて一体的な街路空間をつくることを目標としています。容積・高さ緩和を受ける代わりに満たすべき公共貢献の条件があり、その一つが歩道の境界線からの2メートルのセットバックと民間の費用負担による歩道空間の整備です。約6・5メートルだった歩道の幅が8・5メートルに、道路の全体幅員が25メートルから29メートルになるというのが物理的仕組みです。

MDCの掲げる「アジアで最も創造的なビジネス街」の歩行空間を協議会で検討するにあたり、これまでの明治通りの歴史や現状の調査を行いました。かつては路面電車が走り、後に天神地下街や地下鉄が整備され、交差点には腰掛けを兼ねた車止めが配置された歴史、幾つもの樹種が混在している植樹帯、タイル舗装は後々同じ製品がないために部分的張り替えでパッチワークのようになっている現況など、何気なく歩いているだけでは見落としていることも数多く知りました。

課題も見えてきました。東西に伸びる明治通りで建物が高さ約100メートルになると、南からの直射光の変化や街路樹への影響はどうなのか。建て替える場所ごとに部分的に完成していく歩道にどんな材料を使うとよいか。さらに長期的に考えると、インフラ工事で舗装材が剥ぎ取られたあとの復旧で、新旧の違いが分かりにくい仕組みはないか。