対中債務に苦しむスリランカ 中国に債務緩和を要求 総額3900億円

スリランカ最大都市コロンボを視察するラジャパクサ大統領(左)と中国の王毅国務委員兼外相(右)=9日(ロイター=共同)
スリランカ最大都市コロンボを視察するラジャパクサ大統領(左)と中国の王毅国務委員兼外相(右)=9日(ロイター=共同)

中国の融資でインフラ整備が進むスリランカのラジャパクサ大統領は11日までに、中国側に対して対中債務支払い条件の緩和を要請した。ロイター通信などが報じた。新型コロナウイルス流行による経済状況の悪化を理由としているが、対中債務処理に苦慮していることが浮き彫りとなった形だ。中国に依存する財務体質の是非が問われそうだ。

ラジャパクサ氏は9日、スリランカを訪問した中国の王毅国務委員兼外相と会談し、新型コロナのワクチン支援に謝意を述べつつ、「(コロナ禍で)経済危機に直面したスリランカにとって大きな助けになる」と発言。支払期限の延長など債務の返済条件の緩和を検討するよう求めた。王氏の反応は分かっていない。スリランカの対中債務は33億8千万ドル(約3900億円)に上るとみられている。

中国は巨大経済圏構想「一帯一路」関連に基づきスリランカへの投資額を増やし、それに従って対中債務も増加した。スリランカは一部について既に返済に行き詰まり、2017年には南部ハンバントタ港の権益を中国側に99年間貸与することで合意している。中国が債務返済に窮した途上国からインフラの運営権などを得る「債務のわな」の典型例とされる。

それでも親中派ラジャパクサ氏が率いるスリランカの対中接近は修正されていない。昨年11月には、日印と協力して進める予定だった最大都市コロンボの港湾開発事業を中国企業に発注することを決めた。

スリランカは経済状況が悪化しており、外貨準備高は昨年11月末時点で約15億ドルにまで減少。米外交誌ディプロマットは経済的苦境について、「中国融資で建設されたインフラの収益が低いことが一因となっている」と指摘した。

中国外務省の汪文斌報道官は10日の記者会見で、スリランカの債務の問題について、「一時的な困難を早く克服できると信じている」と答えるにとどめた。

中国側は、途上国における「債務のわな」に関する批判に反発している。王毅氏は6日、ケニア訪問中に「いわゆるアフリカの『債務のわな』という見方は全く事実ではなく、一部の人々が下心を持って騒ぎ立てているものだ」と主張。債務のわなへの懸念が強まれば途上国の間で中国離れが進む可能性もあり、習近平政権は警戒している。(シンガポール支局 森浩、北京 三塚聖平)