日本オリジナル作拡大のNetflix 見たことのない物語最高の環境で制作

ネットフリックスの日本でのコンテンツ制作・調達を統括する坂本和隆さん
ネットフリックスの日本でのコンテンツ制作・調達を統括する坂本和隆さん

動画配信サービス大手のNetflix(ネットフリックス)が、日本での作品制作を拡大している。アダルトビデオ業界を描き、人気を博した「全裸監督」などのドラマに加え、映画やバラエティーなどコンテンツの多様性強化を進める。さらには日本映画界を代表する是枝裕和監督によるドラマと映画制作も発表した。量、質の両面で充実を図る同社の戦略について、日本での実写・アニメ作品の制作と調達を統括するコンテンツ部門バイス・プレジデントの坂本和隆さんに聞いた。

「オールスターがそこに集まっているような状況なので、非常に楽しみにしていただきたい」

是枝監督が総合演出として手掛ける連続ドラマについて、坂本さんはこう語る。今月7日にタイトルが発表された「舞妓さんちのまかないさん」には、映画「万引き家族」で平成30(2018)年にカンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールを受賞した是枝監督に加え、プロデューサーにアニメ映画「君の名は。」などで知られる川村元気さん、美術監督に米映画「キル・ビルVol.1」を担当した種田陽平さんら豪華制作陣が名を連ねる。

Netflixシリーズ「舞妓さんちのまかないさん」©小山愛子・小学館/ STORY
Netflixシリーズ「舞妓さんちのまかないさん」©小山愛子・小学館/ STORY

昨年11月に行われた「Netflix Festival Japan 2021」で是枝監督は「ネットフリックスと組まなければ実現できなかったものになる」と述べ、ドラマで使用するセットについて「国内マーケットだけを視野に入れていたら今こんなセットを作れない」と語った。

ローカル重視

ネットフリックスは平成27年9月に日本でのサービスを開始。昨年11月ごろまでに約90本のオリジナル作品が日本で作られた。

アダルトビデオの村西とおる監督の半生を描いた「全裸監督」シリーズや、東京・渋谷のスクランブル交差点を再現したセットが反響を呼んだ「今際(いまわ)の国のアリス」と話題作を投入。昨年12月には、劇団ひとりさんが監督を務め、大泉洋さん、柳楽優弥さんらが出演した映画「浅草キッド」の配信を始めた。年を追うごとに日本作品の割合は増えている。

Netflix映画「浅草キッド」の一場面。ネットフリックスで全世界独占配信中
Netflix映画「浅草キッド」の一場面。ネットフリックスで全世界独占配信中

日本発の作品に対するこだわりについて、坂本さんは「ローカル(現地)の良さ、ローカルならではのストーリー、さらにそのストーリーの中でもまだ日本のお客さまも見たことのない、語られてない部分をいかに見つけていけるということがとても重要だと思っている」と説明。「われわれはグローバル(世界的)プラットフォームでもあるが、アメリカに寄せて何かを作る、企画を考えるということはいっさいする必要はないと思っている」と語る。

「いまだ語られていないストーリー」の代表例の一つが「全裸監督」だ。「企画開発で見つけるまで、村西さんを知らなかった。業界の裏側について語られていない部分もあるので、それを魅力に感じた」(坂本さん)という。

才能との交流

オリジナル作品が充実してきた背景には、日本におけるネットフリックスの制作態勢が強化されたことがある。スタッフ数は最初の20人弱から200人弱にまで増えた。

数だけでなく、制作の各過程におけるスペシャリストをそろえ、予算やスケジュール、編集作業などをサポートする。坂本さんは「(クリエーターの)イメージを具現化する世界最高の環境を提供したいと思っているので、そういったところのクオリティー担保の態勢がとれていることが最大の強みだと思っている」と話す。

日本でのサービスを始め、今年で7年となるネットフリックス。今後の日本での作品制作の戦略について、坂本さんは「各ジャンルの作品数、作品の多様性がどんどん広がっていくことがとても重要な戦略になっている。実写においてはバラエティージャンル、映画ジャンル、連続ドラマの部分、アニメにおいてもさまざまなジャンルをどんどん作っていくという状況なので、たくさんの視聴者が見たいものがより裾野が広く見えてくるんじゃないかと思っている」と語る。

もう一つの大きな目標として掲げるのが、是枝監督とのタッグに代表される「才能との交流」だ。「とにかく才能のある方たち、それはベテランも若手も含めて、いろんな方と組んでいきたいと思っている」と話し、こう続けた。

「作品を見て、海外のクリエーターやプロデューサーたちが『こういう才能が日本にあるんだな。じゃあ、この作品をオファーしてみよう』ということで、違う国でのオファーが飛び交うというような才能の交流もとても重要な位置づけとしている。そういったものを、われわれと組むパートナーさんが連携しながらいい化学反応が生まれていくということが最大の目標の一つだと思っている」

(森本昌彦)

<Netflix>米動画配信事業会社が運営するサービスで、2021年9月末時点の世界の有料会員数は2億1400万人に上る。日本では、サービス開始から5年がたった令和2(2020)年、有料会員数が500万人に達したことが発表されている。昨年大ヒットした韓国ドラマ「イカゲーム」をはじめオリジナル作品に力を入れている。月額料金は990円、1490円、1980円(いずれも税込み)の3プラン。