在アフガン日本大使館 再開遠く 欧米慎重

昨年8月に一時閉鎖した在アフガニスタン日本大使館は、再開のめどが立たない状態が続いている。暫定政権を樹立したイスラム原理主義勢力タリバンへの対応を国際社会が模索する中、日本だけが先んじて再開させればアフガンの人権状況を肯定したと受け止められかねないからだ。タリバン側は各国に再開を求めているが、日本政府は「何ら約束はしていない」(外務省関係者)と慎重な姿勢を崩していない。

アフガンの日本大使館は昨年8月、現地情勢の急激な悪化を受けて一時閉鎖し、トルコの日本総領事館内に臨時事務所を設けた。9月にカタールの日本大使館に移り、現在も当座の業務を続けている。

タリバンは各国に大使館の再開を求めているが、国際社会は女性の人権や治安情勢への懸念からタリバンを承認しておらず、関係のあり方を模索している。日本を含む22カ国・機関は昨年12月4日、タリバンが前政権関係者ら100人以上を殺害するなどした疑いがあるとして批判する共同声明を発表したばかりだ。

大使館再開は必ずしもタリバン政権の承認を意味しないが、欧米諸国が慎重に対応を見極めている中、日本が先行して再開すれば、国際社会に誤ったメッセージを発することになりかねない。

世界各地の大使館は基本的にその国の首都に置かれ、現地の邦人保護や相手国政府との交渉、情報収集などにあたっている。アフガンには現在、日本政府の支援を求めている邦人はおらず、交渉などは必要に応じて出張で対応が可能なため、再開を急ぐ理由は乏しいといえる。

とはいえ、周辺国に設けた臨時事務所で業務を続けることは「やむを得ないが、望ましい形ではない」(外務省関係者)のが実情だ。岡田隆駐アフガン大使は昨年11月、アフガンでタリバン幹部と会談した際、大使館再開の条件として安全確保などを挙げた。外務省の担当者は「タリバン側に何ら約束はしていない」としつつ、「いつどう状況が変わっても対応できるように準備や頭の体操はしている」とも述べる。(豊田真由美)