成人式、今年も「密」避け 分散開催や接種証明

東京都杉並区で開催された成人式。会場入り口では手指の消毒や体温測定など新型コロナ対策が講じられていた=10日午前(鴨川一也撮影)
東京都杉並区で開催された成人式。会場入り口では手指の消毒や体温測定など新型コロナ対策が講じられていた=10日午前(鴨川一也撮影)

新型コロナウイルス禍で2度目となる「成人の日」を迎えた10日、各地で成人式が行われ、新成人の門出を祝った。新変異株「オミクロン株」による感染急拡大を受け、各自治体は分散開催の実施や、ワクチン接種証明の提出を求めるなど感染対策を徹底。式典後の会食自粛も呼びかけた。一方、蔓延(まんえん)防止等重点措置が適用されている地域では、直前に式の中止や延期が決まるなど混乱もみられた。

「久しぶりに会えてうれしい。おめでとう」。昨年、東京23区で唯一の成人式が行われた杉並区では、今年も晴れ着にマスク姿の新成人たちが喜びを分かち合った。中学の同級生と一緒に来ていた井上真希さん(20)は「会場の感染対策が万全だったので安心した。一生の思い出になった」と笑顔を見せた。

「会食せず帰宅を」

区は今年、式への参加を事前登録制とし、座席の間隔を広くした上で位置を指定。陽性者が出たら、近くに座っていた人に確実に連絡が行くようにした。今回の感染急拡大の要因として年末年始の会食機会の増加が指摘されているため、田中良区長は式典のあいさつで、こう呼びかけた。

「お酒を飲む場が感染拡大のリスクを増大させる。式が終わった後は会食をせずに帰宅してほしい。成人としての責任が求められている。皆さんには自制心を持って行動してほしい」

神奈川県横浜市の成人式の様子。新型コロナウイルス対策として席の間隔を開けて着席する新成人ら=10日午後、横浜市港北区(松井英幸撮影)
神奈川県横浜市の成人式の様子。新型コロナウイルス対策として席の間隔を開けて着席する新成人ら=10日午後、横浜市港北区(松井英幸撮影)

全国最多の約3万6千人が新成人となった横浜市。式典への参加は多くても7割と見込み、会場の横浜アリーナ(定員約1万3千人)の収容人数が半分以下になるよう、式典を4回に分ける分散開催で挙行。式典の様子は市のホームページでも動画配信した。ワクチン未接種の出席予定者には希望に応じ、事前に抗原検査キットを無料配布したという。

首都圏では、大会場を活用するなど〝密〟を避けるための対策が取られた一方、地方ではワクチン接種などを参加条件とする自治体もあった。

岩手県一関市は、延期していた昨年度の式典を8日、今年度の式典を9日にそれぞれ開催。新成人に接種証明の提示を求めたほか、未接種者には市の費用負担でPCR検査を行い、陰性を確認した上で参加を可能とした。新型コロナの感染急拡大を受け、前日に急遽(きゅうきょ)、式典を約30分間短縮することも決めた。

蔓防地域は中止も

一方、感染拡大が止まらない沖縄県では、蔓延防止等重点措置の適用を受け、7日時点で41市町村のうち17市町村が中止や延期などの対応を取った。

沖縄本島南部の八重瀬町は、県内の新規感染者が1千人を超えた段階で式典は厳しいと判断。延期も検討したが、新成人への負担を考えて中止とした。

町の担当者は「本土から戻る人も多く、日程を二転三転させると負担が大きい。貸衣装もキャンセル料に加え、延長料金が必要になるケースもある。新成人たちの実行委員会とも話し合って決めた」と話す。

米軍岩国基地で感染者が急増した山口県岩国市は「健康と安全な生活を最優先に考慮した」として、9日の予定を延期。広島市も10日の予定だった式典を5月8日に延期した。

着物延長でも無料

着物をめぐっては大手レンタル業者を中心に、キャンセル料や延長料金を無料にする取り組みもある。

振り袖のレンタル・販売を全国展開する「一蔵」(東京)は、国や自治体など行政の判断で中止、延期となった場合、契約代金を最大で全額返金するほか、延期後の成人式までの延長料金を無料とした。

同社担当者は「コロナ禍で、直前まで成人式がどうなるか分からない状況が増えた。式前日の中止も珍しくない中、晴れの日を迎える新成人の金銭面と精神面での負担を軽減できないかと考え、こうした取り組みを実施した」と話した。