書評

『宮廷のデザイン 近世・近代の御下賜の品々』八條忠基著

皇室といえばすぐ思い浮かぶのが菊花御紋章。しかし平安時代、天皇のシンボルは鳳凰(ほうおう)だった。それが菊を自らの専用紋とした鎌倉時代初期の後鳥羽上皇以降、皇室と密接に結び付き、洗練されたデザインが生まれていく。本書は江戸時代から現代までの宮廷で使用されて臣下に下げ渡された食器や調度品など約150点について、有職故実(ゆうそくこじつ)研究家が美麗なカラー写真を用いてその意匠を解説する。

特に見ごたえがあるのは、明治以降の洋風生活で生まれた品々。繊細な銀細工のボンボニエール、早期に高レベルの国産化を達成した洋食器など、和洋折衷の粋が堪能できる。(平凡社・2420円)