『毛沢東選集』は全5巻からなる。全巻日本語に訳されており、第1~4巻(中国語版は1951~60年に刊行)は、古本市場で容易に入手できる。対して中国語版が77年に刊行された第5巻は入手が難しい。中国共産党内部の路線対立のために82年に廃刊となったからだ。
第5巻に「十大関係について」と題する、56年4月25日に毛沢東が中国共産党中央政治局拡大会議で行った講話の記録が収録されている。この年の2月にはソ連共産党第20回大会が開催され、同月25日にフルシチョフ第1書記がスターリンを批判する秘密報告を行った。
この秘密報告は国際共産主義運動に激震を走らせた。毛沢東の「十大関係について」の講話は、フルシチョフのスターリン批判に対する毛沢東の応答という性格を帯びている。毛沢東は、スターリンについて功績七分、誤り三分という評価をしている。後に鄧小平は毛沢東について功績七分、誤り三分という評価を下している。