書評

『虎 とら』岩合光昭著

深い叡智(えいち)をたたえる両眼が静かにこちらを見詰めている。インドの森に生きるベンガルトラの堂々たる顔貌だ。干支(えと)にちなんだ写真集である。その表紙をめくると、いきなりすさまじい殺気を放つ双眸(そうぼう)が出現する。見事な構成。

1980年代から2020年2月までにインドで撮影された野生のトラの群像だ。獲物を探す。狙いを定める。追う。仕留める。夏の日中には水に漬かり、体を休める。雌雄の出合い、子育て、成長の記録もある。深い森とそこで暮らすさまざまな動物も被写体だ。笑顔のトラも登場する。さて、どうしたのか。表情の意味は本書を手に取って。(クレヴィス・2530円)