「ジャパネット杯 春の高校バレー」として行われる第74回全日本バレーボール高等学校選手権大会(産経新聞社など主催)は9日、東京都渋谷区の東京体育館で5セットマッチ(3セット先取)の決勝を行い、女子は就実(岡山)が古川学園(宮城)を3-1で破り、2大会連続4度目の頂点に立った。
2連覇に近づいた第4セット、就実に試練が訪れた。エースの深沢めぐみ主将(3年)が足をつってコートの外に出ると、連続失点で古川学園に3点差まで迫られた。
窮地を救ったのがめぐみの双子の妹、深沢つぐみ(3年)。「チーム全員がこの1年、姉に助けられてきた。少しでも点差を離して楽にプレーさせよう」。強打を重ねてリードを広げ、回復しためぐみが戻った直後にはバックアタックも決めた。最後は「どうなってでもチームを勝たせる」と、めぐみの気迫みなぎるスパイクで決着。「みんなが力を貸してくれる、いいチームになった」と喜びにひたった。
前回優勝を契機に、注目を浴び続けた双子の姉妹にとって、この1年は重圧との戦いだった。高校総体の岡山県予選が終わると「もう1枚エースが必要。自覚を持ってもらおう」と考えた西畑美希監督が、主将をめぐみからつぐみに代えた。総体は準優勝に終わり、国体は中止。同じ3年の曽我紀美は「残る春高で優勝しないといけないと、2人が笑顔でプレーできない時期もあった」と振り返る。
それでも春高の岡山大会前から主将に戻っためぐみを中心に、就実伝統の基本に忠実なバレーを磨き上げ、再び日本一にたどり着いた。卒業後、Vリーグの東レ入りするつぐみが「チームを引っ張ってくれてありがとう」と言えば、久光に入団するめぐみは「これからも上を目指して頑張っていこう」。互いを高め合う2人のバレー人生はまだまだ続く。(奥村信哉)