日本語メモ

閻魔様に初詣

東京での仮住まいは3年を超え、コロナ禍での生活も丸2年たった。昨年末は地元の関西に戻って年を越そうと思っていたところ、不運にも?大みそかの夜勤にあたり、東京で三が日を過ごすことになった。電車・地下鉄に乗って初詣に行く元気もなく、夕刻に近所の寺を訪れた。

名前は「こんにゃくえんま」。文京区にある浄土宗の寺で正式には「源覚寺」という。都内では有名なのか、本社から夜勤でタクシー帰りをする際も「こんにゃくえんまの方向に行ってください」といえば、確実に自宅近くに着く。校閲に身を置くものとしては、こんな変わった名称なら由来を知るべきだろうが、ものぐさな性分なので今回参るまで調べていなかった。

同寺のホームページによると、同寺に祀られている閻魔(えんま)大王像の右目部分は割れて黄色く濁っている。江戸中期の宝暦年代(1751〜64年)、眼病を患った年老いた女性が閻魔大王に21日間祈願した。すると夢の中に大王が現れ「私の両目の内、ひとつをあなたに差し上げよう」と告げ、満願の日に老婆の目は治った。以来、大王の右目は盲目となった。女性は感謝のしるしとして好物のこんにゃくを断ち、それを供え続けたという。この言い伝えから、「こんにゃく閻魔」と呼ばれるようになり、眼病治癒の閻魔様として信仰を集めている…。

ちょうどよかった。筆者も日々の校閲作業で目を酷使し、眼精疲労ぎみだ。これは早速お参りしなくてはなるまい。源覚寺は後楽園駅や春日駅からほど近い。境内は千川通りに面している。間口はそれほど広くなくこじんまりした印象だ。正面にある閻魔堂には閻魔大王像が鎮座しており、脇にはお供えされたこんにゃくが山となっていた。ここで「目が良くなりますように」と祈願した後、隣の塩地蔵でも祈願した。塩地蔵では、その名の通り塩をかけて願掛けを行う。長年の願掛けで表面は塩で覆われ原形は見えず、赤い前掛け2枚でかろうじて2体1組の地蔵とわかる。近隣住民と思われる方々が切れ目なく訪れ、静かに祈願していた。

表通りから数メートル入っただけで、ビル街の中と思えない落ち着いたたたずまい。住民の方々に交じってお守りを買っていると、にわか都民になった気分を味わえた。コロナ禍の第6波が来ている。早期収束を願って、また参拝に訪れたい。(C)