犯罪最前線

マッチングアプリで美人局 プチぼったくり暗躍

繁華街の飲食店で昔からあるトラブルといえば、高額な料金を不当に請求する「ぼったくり」だ。このぼったくりにマッチングアプリを悪用した新たな手口の被害が相次いでいる。ぼったくり店の女性従業員が無関係の一般女性を装いマッチングアプリで出会った男性を言葉巧みに店に誘導。請求額を10万円以下に抑えた「プチぼったくり」で通報されにくくするなど摘発逃れも巧妙化している。警視庁は同様の店が都内に20店ほどあるとみて警戒を強めている。

マッチングのはずが…

「気になっているバーがあるから行ってみようよ」

20代の男性会社員はマッチングアプリで知り合った女性(18)に誘われるがまま東京・歌舞伎町のバーに向かった。

3階にある一見すると普通のバー。だが、メニュー表の端には小さく《チャージ料金2千円》《サービス料20%》などの表記が。女性は次々と高額なお酒を注文し続けた。

少し飲んでから会計を頼むと、女性はクレジットカードで支払う素振りを見せたが、すかさず経営者の男が「カードは使えない」とすごんだ。現金を持っていないという女性の代わりに男性に提示された料金は約4万円。

「ぼったくられた」

男性は瞬時にそう思ったが、こわもての経営者の男のすごみのせいか、4万円という値段のせいか、悔しさを感じながらも支払いを済ませて店を後にした。

実はこの女性は店の従業員。そしてマッチングアプリで女性のふりをしてやりとりをしていたのは経営者の男らだった。マッチングアプリを悪用して自然な出会いを装いながら巧みに店に誘導する手口だったのだ。

さらに、請求額を10万円以下にして払えないほど高額とはいえない「プチぼったくり」にとどめたのも、通報や相談をしにくくするのも手口だった。

苦情30件以上

マッチングアプリとぼったくりを組み合わせた手口で経営者の男は昨年9月以降、約4500万円を荒稼ぎしていた。店の実態は女性従業員が接待をするキャバクラだったにも関わらず無許可で営業。警視庁は、風営法違反の疑いで昨年11月、東京都新宿区歌舞伎町でこの「ぼったくり」バーを経営する男(23)と、10代を含む従業員の男女2人を逮捕した。

マッチングアプリの性質上、男性は女性に好意的な感情を抱いて会うケースが多い。捜査関係者は「女性に頼まれたら断りづらいという男性心理を巧みに利用していたのではないか」と指摘する。