【ロンドン=板東和正】北大西洋条約機構(NATO)は7日、緊急外相会合をオンライン形式で開き、ロシア軍による侵攻の懸念が強まるウクライナ情勢の対応を協議した。ストルテンベルグ事務総長は会合終了後の記者会見で、NATOの東方不拡大を求めるロシアの要求に対して「基本原則で妥協できない」と応じない考えを示した。同時に、「外交が失敗する可能性にも備えなければならない」と述べ、ロシアを牽制(けんせい)した。
ウクライナ国境付近で兵力を増強するロシアは、NATOの東方不拡大などに関し、米国とNATOに条約などを締結するよう要求している。12日にブリュッセルで開催予定の対ロ協力の枠組み「NATOロシア理事会」では緊迫化するウクライナ情勢や、ロシア側の要求などが議題になる見通しだ。
ストルテンベルグ氏は7日の会見で「NATOも誠意を持ってロシアとの対話に臨む」とした上で、「NATOの拡大は欧州の安定や平和、自由、民主主義にとって非常に重要」と強調。「NATOは、全ての国が自らの道を選択する権利を持つという基本原則で妥協できない」と述べ、ロシアの要求を拒否する方針を示した。
一方、ストルテンベルグ氏は、ロシア軍の増強は現在も続いており、侵攻のリスクは「現実的だ」と指摘。「われわれは外交が失敗する可能性にも備えなければならない」と述べ、ウクライナに侵攻した場合は「重大な結果をもたらし、(ロシアにとって)高い代償となる」と警告した。