記者発

スマホ決済キャンペーンの「?」 経済部・大坪玲央

キャッシュレス化を進める政府の後押しもあってスマートフォンのQR決済の普及が進むが、「◯◯市のお店で20%還元」など全国の自治体で実施されているスマホ決済キャンペーンはご存じだろうか。個人的にはかなり利用しているが、税金を原資としたこの施策には疑問も多い。

自治体キャンペーンは、令和2年7月にQR決済最大手のPayPayが全国の自治体と共同で始めた「あなたのまちを応援プロジェクト」がきっかけで広がった。1月時点でも東京都文京区や大阪府泉佐野市など全国の自治体がキャンペーン中だ。PayPayと連携する自治体が多かったが、KDDIや楽天、NTTドコモなど他社と連携する自治体も増えている。

このキャンペーンの一つの疑問が、どこから還元の原資がきているのかということだ。自治体なのかQR決済事業者なのかというのが気になるところだが、関係者によれば、原資は政府の新型コロナウイルス対応の地方創生臨時交付金などの税金だという。

しかし、税金を使ったキャンペーンなのに、QR決済の利用者はイメージほどには広がっていない。昨年7月の18~69歳の男女を対象とした民間調査では、QR決済は認知度については90%以上だったが「利用している」と回答したのは約35%にとどまった。3人に1人程度しか利用していないのに税金を使ったお得なキャンペーンを実施してもいいのだろうか。経済官庁のOBは「QR決済を使える人と使えない人で差が出るのは公平性を欠く」と指摘する。

もう一つの疑問は、キャンペーンで対象となる店舗を自治体がどう選んでいるのか不明瞭ということだ。神奈川県などキャンペーンを実施している自治体によっては基準をホームページで公表している場合もあるが、同じ商店街の同じ業種なのにこの店は対象であの店は対象外、という首をひねるケースも多い。売り上げ規模などで選んでいるようだがスッキリしない。

ふるさと納税やマイナンバーカードのポイント還元など政府や自治体の施策で得するものをなるべく利用するのは、消費者として普通の選択だろう。ただ、記者としては疑問や課題を指摘される施策をそのまま利用していいのだろうかとも感じている。

【プロフィル】大坪玲央

平成15年入社。千葉、秋田の総支局、東京整理部、社会部、静岡支局を経て27年10月から経済部。国土交通省などを担当し、現在は総務省担当。