国際宇宙ステーションの後継の開発は、こうして民間企業3社に託された

今回の開発企業に選定された3社のなかでは、ノースロップ・グラマンが最も歴史がある。創業は1930年代にさかのぼり、NASAとの関係は長年にわたる。同社の提案の特徴はISSと最もよく似た外見の宇宙ステーションで、その大半にはすでに利用可能な技術とハードウェアを用いることになる。

そのステーションには、NASAが計画を進めている月周回宇宙ステーション「ゲートウェイ」のモジュールとしてノースラップ・グラマンが開発中の「Habitation and Logistics Outpost (HALO)」と同様の円筒形のモジュールが含まれている。ISSに何度も物資を運んでいる「シグナス」より大型の補給船も搭載される。

「わたしたちは極めて信頼性が高く、技術に優れ、素早く完成できる選択肢をNASAに提示すべく努力しています」と、ノースロップ・グラマンの有人探査事業開発の責任者リック・マストラキオは言う。

これに対してナノラックスが提案する「Starlab」は、従来の宇宙ステーションとは外見がまったく異なる。広くて膨張式の居住空間は、ISSと比べると3分の1の大きさの与圧室のほか、科学実験室、ドッキングポート、電力推進要素(PPE)、ロボットアームを備え、一度の打ち上げで軌道に乗せることができる。ヒューストンを拠点とする同社は、大株主であるVoyager Spaceやロッキード・マーチンと共同で開発に取り組んでいる。

拡張式の居住空間は金属製の空間よりも新しいが、その技術自体は数十年前から存在している。Bigelow Aerospaceの膨張タイプのモジュール「BEAM」は、2016年からISSに接続されている。

ナノラックスの居住モジュールの材料は同社が独自開発したものだが、宇宙放射線や宇宙ごみなど絶えず危険をもたらすものからモジュールを保護するように設計されていると、ナノラックスのスミスは説明する。「膨張技術によって、居住モジュールの内部に到達するまでに通り抜けなければならない複数の層が生じ、そうした層がケブラー繊維製の防弾チョッキのようにエネルギーを吸収するのです」

ブルーオリジンがSierra Spaceと共同開発中の宇宙ステーション「Orbital Reef」は、2種類の技術を含んでいる。金属製コアモジュールと科学モジュールのほか、「LIFE」という膨張式居住モジュールを搭載しているのだ。このステーションは、さまざまな活動を支援する「宇宙空間における多目的のビジネスパーク」として設計されている。

限られた空間を巡る争い

こうした宇宙ステーションは、いずれもNASAが中核の“テナント”になると、ノースロップ・グラマンのマストラキオは言う。だが、商業宇宙旅行の市場が拡大すると、宇宙ステーションは従来とは異なる訪問者を宿泊させるようになる。観光、スポーツ、娯楽、広告などの目的でやってくる人々も含まれるようになるのだ。

ISSの後継機がどのような形状になるのか、追加するどのモジュールを優先して開発するのかは、市場原理に左右されかねない。実際のところ、最初は限られたスペースを利用できるかどうかの競争になるだろう。

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