大阪府内で676人の新型コロナウイルス感染が確認された7日、府は急遽(きゅうきょ)、対策本部会議を開き、自粛要請の基準「大阪モデル」の黄信号(警戒)点灯を決めた。直近7日間の感染者数の前週比が過去最大ペースの5・75倍に達し、8日からの3連休を前に警戒を呼びかける狙いがある。入院基準の見直しにより、病床や宿泊療養施設などの医療資源を効果的に運用したい考えだ。
「陽性者数の警戒基準に一両日中に達することは間違いない。3連休に入る今の段階で黄信号を点灯し、一人一人の感染対策の徹底をお願いしたい」
吉村洋文知事は対策本部会議後、記者団にこう述べた。会議の開催は、670人台の感染確認の報告を受けた7日午後に決断したことも明らかにした。
会議では、大阪モデルで警戒の目安の一つとなる直近7日間の人口10万人当たりの新規感染者数「35人以上」の基準を近く上回る可能性が報告された。
過去最多更新のおそれも
府の試算によると、新規感染者数の前週比が今後、感染「第5波」の2倍で推移した場合、15日に1018人に上り、25日には過去最多の5121人に達するという。
吉村氏はオミクロン株の「驚異的な感染拡大力」を警戒し、会議で「適切な医療資源の配分が重要だ。これを誤れば(症状の)軽い人の入院が多くなり、医療崩壊することもあり得る」と強調した。
府内では7日時点で重症病床を612床、軽症・中等症病床を3110床確保し、使用率はそれぞれ0・2%と13・9%。オミクロン株の重症者こそ出ていないものの、軽症・中等症病床は5段階の確保計画の中で最も低いフェーズ1から一気にフェーズ4まで引き上げ、2700床程度を運用するとしている。
宿泊療養施設も14日に確保予定の1万室余りを全て運用する方針を前倒しで決めた。7日に改定した入院基準では、40歳以上で入院の必要がない患者らを原則宿泊療養とし、大幅な需要増が見込まれる。
府は医療機関の病床や宿泊療養施設が逼迫(ひっぱく)する事態を想定し、国際展示場「インテックス大阪」(大阪市住之江区)に開設した千床規模の臨時医療施設の運用準備に入った。
さらに自宅療養となる40歳未満で重症化リスクがない患者を支援するため、府のホームページや専用の電話相談窓口を通じ、抗体カクテル療法の投与やオンライン診療を行う医療機関などを紹介する。
吉村氏は「防がなければならないのは医療崩壊だ。感染はゼロにならない。適切な医療を受けられるように体制を整えていく」と述べた。