主張

デジタル重点計画 利便性高める改革とせよ

政府がデジタル社会の実現に向けた重点計画を決定した。対面や書面などの手続きを3年以内に全面的に見直し、全国共通の自治体システムを構築する。マイナンバーの用途も拡大し、行政の効率化と利便性の向上を目指す。

行政手続きのデジタル化は喫緊の課題である。司令塔となるデジタル庁だけでなく、政府全体で取り組みを加速することが重要だ。岸田文雄首相は役所任せにせず、指導力を発揮して改革に当たってほしい。

効率化を阻む手続きのデジタル化や簡素化は当然だが、新たな産業の創出につながるような規制改革も忘れてはならない。不合理な規制を積極的に見直すことで、民間の創意工夫を促して経済の活性化も図りたい。

重点計画では、デジタルで手続きを完結・自動化するほか、官民連携や相互運用など5つの原則を示した。なかでも行政手続きのデジタル化を最大の柱に位置付け、対面や書面などによる義務付け規定を見直し、デジタル化を原則にするよう改める。

今後3年間を集中改革期間として見直しを進め、一括で改正する方針だ。政府は約4万にのぼる法令を点検することにしており、作業を急ぎたい。各論での省庁の反対を封じ込め、行政全体でデジタル化を推進することが大切だ。

現在は税と社会保障、災害対応に限定されるマイナンバーの用途も拡大する。個人情報保護の徹底などで安全性を十分に確保しながら、利用範囲を広げて国のデジタルインフラとして活用したい。

同時に来年度末までに全国民に対し、マイナンバーカードを配布する目標も盛り込んだ。何よりも国民の利便性を高めることを最大の目的としてほしい。

各省庁や自治体が独自に整備してきた行政システムを共通化し、国・地方の連携を推進する計画も打ち出した。国の給付金などを自治体を通じ、迅速に支給できる仕組みを構築してもらいたい。そのためには国民の理解を得ながら、マイナンバーと銀行口座の紐(ひも)付けも進める必要がある。

今回の重点計画は内容が多岐にわたり、残る課題も多い。裁判で用いられる証拠のデジタル化などの取り扱いも明確化する必要がある。まずはデジタル化が可能な分野から段階的に進めるなど、柔軟な対応も求められよう。