ジェンダーの問題をはじめ、社会的なテーマにも敏感といわれるZ世代を示すキーワードのひとつが「多様性」だ。「他人と違って当たり前」という感覚が浸透するなかで、自分の悩みをもとに事業を展開し始めた少年がいる。
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近未来を担うZ世代の思考から、社会の未来図をひもときます(全5話)
人生を変える出会い
「今をあきらめなくていい社会をつくる」。そんな理念を掲げ、加藤路瑛さん(15)は12歳で「クリスタルロード」(東京)を設立。自身も抱える感覚過敏による困りごとの解決を目指している。新型コロナウイルス禍では、マスクの着用が困難な人の飛沫(ひまつ)対策にプラスチック製の「せんすマスク」を開発し、話題を呼んだ。今春にはアパレルブランドも始動する。原動力はシンプル。「やりたい」という気持ちだ。
「働きたい」。4歳のときには周囲にそう話していた。「スーツをビシっと着て電車に乗って…かっこいいと憧れた」。中学に入って間もなく、人生を変える出会いがあった。理科の実験をするユーチューバーになりたいというと、母親が買ってきた化学の基礎を学べる元素記号のカードゲーム。パッケージの帯に書かれた言葉に目を奪われた。小学生の起業家が考案したとあった。