【台北=矢板明夫】台湾が中国からの経済的な圧力を受けるバルト三国の一つ、リトアニアを全面支援する姿勢を打ち出した。中国は、「台湾」の名前を冠した出先機関の開設を認めたリトアニアとの貿易をとめる動きをみせている。台湾当局はこれに対し、リトアニアを含むバルト三国を中心に投資するための総額2億ドル(約230億円)の基金の設置を表明。中台間で駆け引きが激しさを増してきた。
基金の設置は、台湾の駐リトアニア代表(大使に相当)の黄鈞耀(こう・きんよう)氏が7日までに、地元メディアに対して明らかにした。台湾の行政院(内閣)に属する国家発展委員会が出資する。黄氏は「半導体、生物化学分野などへの投資を優先し、今年中に具体的な経済効果を期待している」と語った。
中国側は否定しているものの、中国はリトアニアからの出荷品の通関を差し止める報復に出ている。台湾メディアによれば、台湾当局の影響下にある民営企業「台湾煙酒」は3日、中国の港で足止めされて行き場を失っていたリトアニア産のラム酒約2万本を買い取ったと発表した。今月中にもラベルを台湾仕様に貼り替えて販売するという。