朝晴れエッセー

ネジの教え・1月7日

いつもの診療が終わった後、入り口をみるとドアが半分開いている。ドアクローザーをつけているので自然に閉まるはずのドアが、である。上をみるとドアを建物に固定する金具のネジが外れている。

父から譲り受けた40年以上続く診療所なので、仕方ないのかなと思いながら金具を調べてみる。本来なら、4つで固定されるはずのネジが1つしかない。

足元をみると外れたネジがコロンと1つ。おや、残りの2つは…? そのとき、ハッとある出来事を思い出した。

半年ほど前、片付けをしていると入り口にネジが1つ落ちている。先代からのベテラン従業員と周りを調べても、何のネジかわからないままであった。さらにその前にも似たことが…。同じネジなら数も合う、と思わず膝をたたいた。

しかしのんきにしている場合ではない。時は師走、明日から冷え込む予報で扉の開閉はとても重大。残された2つのネジでなんとかドアは閉まるようになったが、万全ではないと思うとどうも心細い。

あのネジたちを捜索するも、保管したかどうかも記憶になく見つかるはずもない。

次の日、従業員に事情を説明しドアの開閉に注意するようにお願いした。

しばらくすると、「ありました!」という従業員の声が。なんと、彼女の手に2つのネジがあるではないか。引き出しの奥にしまっていたとのこと。いつも良くしてくれる従業員には感謝しかない。

そう、古いが多くの人たちに支えられてきた診療所なのである。

小さなネジが教えてくれた。


梅村茂雄(46) 兵庫県西宮市