浪速風

欠けていた想像力

想像力とは発明や革新を生み出す能力のみをさすのではない。想像力があるからこそ人は他人にも共感できる―。世界的ベストセラー「ハリー・ポッター」シリーズの作者、J・K・ローリングが米ハーバード大学でのスピーチでそんなことを言っていた

▶今春入学の高校教科書「現代の国語」が話題だ。実用的文章を学ぶ科目で新たな必修科目になるのだが、1社だけ小説を多く載せたところ波紋が広がっている。新学習指導要領では、実社会で必要な読解力を伸ばすために「文学的文章を除く」と明記するからだ

▶学校現場の声を反映してのことらしいが、小説を載せなかった他社にしてみれば「話が違う」と不満が出るのも当然だろう。そもそも「読む力」を学ぶ教材が論説文やメールだけで十分だろうか。行間を読むという言葉があるように、書き手の真意をくみ取る力は必要だ。各界の反発や不満を予測できなかった文部科学省こそ想像力に欠けている。