【ラスベガス(米西部ネバダ州)=塩原永久】世界最大級の家電・IT見本市「CES」が5日、米ラスベガスで開幕した。対面イベントとしては2年ぶり。新型コロナウイルスの流行再拡大で一部の大手企業が参加を見送る中、中国や韓国勢が大型展示を行い、存在感を示している。人工知能(AI)を組み込んで使いやすくする「スマート家電」の展示も目立つ。
メイン会場では、中国家電大手TCLや、韓国サムスン電子が大きなスペースをとり、薄型テレビやスマートフォン、冷蔵庫といった幅広い製品を並べ、来場者を集めている。
サムスンは家電をスマートフォンから操作できる機能を強化。TCLは超高精細テレビをアピールし、総合電機メーカーとしての実力をみせている。
米国と中国がハイテク分野で対立する中、米市場での認知度を高めようと、中国ドローン(小型無人機)メーカー「オーテル・ロボティクス」が出展。担当者は、「米国で州の司法当局が犯人捜索などに購入しており、売り上げを伸ばしたい」と説明した。別の中国ドローン企業の男性(30)は「米中対立の話は偽ニュースだ」と話した。
中国の参加企業は90社を超えるとみられるが、感染症対策の影響で「多くの企業が出展できなくなった」(主催団体)という。
一方、各メーカーが力を入れる分野がAIだ。AIを搭載した家電や機械が、センサーでとらえたデータから学習して、最適な機能を発揮するとしており、導入製品が増えている。
すでに自動で稼働する清掃用ロボットなどに利用されてきたが、CESでは、ヘッドホンの音響調節や、「スマートベッド」への導入例が披露された。
米スリープナンバーは新型スマートベッドの試作機を公開。寝ている人の心拍数や呼吸数をセンサーで測り、AIが睡眠の状態を判断してベッド表面の温度を上げ下げするという。
CESでは米グーグルなどIT大手を中心に現地出展のキャンセルが続出。会期を予定より1日短縮して7日に閉幕する。