フィンランド NATO加盟の権利主張 欧露間で緊張も

【ロンドン=板東和正】北欧フィンランドが北大西洋条約機構(NATO)への加盟を阻む隣国ロシアの意向に反し、「加盟する権利」を声高に訴えている。ロシアによるウクライナ侵攻が警戒される中、フィンランドの安全保障政策にまで介入する姿勢を見せるロシアに対し、自国の政策を決める権利を主張した形だ。ウクライナ情勢をめぐりロシアが今月、NATOや米国と協議するのを前に、欧露間で一段と緊張が高まる恐れがある。

フィンランドのニーニスト大統領は1日、年頭の声明で「フィンランドの戦略と選択の自由には、NATOへの加盟申請の可能性が含まれる」と述べた。マリン首相も昨年12月31日の声明で「自国の安全保障政策を決める権利」を主張。「(フィンランドは)NATO加盟を申請する選択肢を保持している」とした。

首脳陣が相次いでNATO加盟に言及する発端となったのが、ロシア側が12月下旬に発した警告だ。

露外務省のザハロワ報道官は同月24日の記者会見で、NATOに加盟していないフィンランドとスウェーデンが「NATOの大規模な演習にますます積極的に参加するようになっている」と非難。両国の非加盟が「北欧の重要な安定要因」とした上で、両国がNATOに加盟した場合は「軍事的、政治的に深刻な結果をもたらし、ロシア側に適切な対応が求められるだろう」と強調した。

この発言は「安全保障政策への介入」(フィンランドの外交問題専門家)と受け止められ、同国でロシアへの警戒が高まった。

欧州連合(EU)加盟国のフィンランドは大戦が勃発した1939年に旧ソ連の侵略を受けたが、独立を保った歴史がある。大戦後は「中立」を看板とし、西側の国としては唯一、旧ソ連と友好協力相互援助条約を結んだ。一方、ソ連解体後も約1300キロメートルにわたり国境を接するロシアの軍事的脅威に対する警戒を続けた。2014年のロシアによるクリミア併合などを受け、NATOとの連携を強化してきたが、中立政策を掲げる立場からNATOに加盟していなかった。加盟に反対する国民も多く、申請の可能性は低いとみられる。