自白、事実と符合「偶然と考えづらい」 女児殺害で岡山地裁

殺人容疑で逮捕され、送検された際の勝田州彦被告=平成30年5月(一部画像処理しています)
殺人容疑で逮捕され、送検された際の勝田州彦被告=平成30年5月(一部画像処理しています)

岡山県津山市で平成16年9月、小学3年の女児=当時(9)=を刃物で殺害したとして、殺人や強制わいせつ致死などの罪に問われた無職、勝田州彦(くにひこ)被告(43)の裁判員裁判の判決で岡山地裁(倉成章裁判長)は6日、求刑通り無期懲役を言い渡した。

事件発生から被告の逮捕までに流れた歳月はおよそ14年。時間の壁に阻まれ、被告と犯人を結びつける客観証拠がゼロという今回の裁判では、捜査段階で被告が犯行を認めた自白調書の信用性が、唯一にして最大の争点だった。

30年5月30日に逮捕された勝田州彦被告は同6月2日の取り調べで、被害女児の首を絞めた上で刃物で腹や胸を4回刺したと自白、調書に署名・押印した。

その後、弁護人との接見では犯行を否定したが、翌3日の取り調べでは自白を維持。しかし、同6日には「これまで話したことは全部でたらめだ」と全面否認に転じ、供述は揺れ動いていた。

こうした変遷を念頭に、この日の判決は「自白の信用性は特に慎重に検討する必要がある」との立場を示した上で、客観的事実との整合性を入念に検討した。

そして地裁が「自白の核心」としたのが、「左手の刃物で腹を1回刺し、右手に持ち替えて胸を3回刺した」という具体的な殺害方法についての供述だった。

遺体の解剖などの結果、実際に刺し傷は4カ所あり、うち3つは、ほかの1つと場所や傷口の向きが異なっていた。

公判で被告は刺した回数について、ポリグラフ検査の際に検査官から「2回か、3回か、4回か、5回か」と聞かれたため、「真ん中を選んで4回にした」とし、「左手で1回、右手で3回」と答えたことに特に理由はないと説明した。

しかし判決は、4回という傷の総数がたまたま合致することはあり得ても「想像で1回と3回に振り分け、傷の向きなどが一致するのは偶然に偶然が重なるもので、常識的に考えづらい」と判断、高度の信用性を認めた。

また自白の中で、現場周辺の状況を詳細に説明したことも、信用性の担保となった。被告は「下校途中の女児の後をつけて、女児宅に入った」と語ったが、その中で女児宅の場所や、その途中にある建物の特徴を正確に述べており、「実際に体験した犯人だから具体的に説明できたと考えるのが合理的だ」とした。

弁護側は、被告が発生当初から事件に興味を持ち、テレビの特集番組を録画して見返していたとして、供述した内容は「犯人でなくても語ることができる」と強調していた。

しかし、地裁は供述には特集番組で取り上げられていない情報もあり、「客観的事実と整合している上、内容も具体的で矛盾のない自然で一貫したストーリーになっている」と弁護側の主張を退けた。