カザフ暴動 死者多数 CSTO、治安部隊派遣へ

【モスクワ=小野田雄一】中央アジアの旧ソ連構成国、カザフスタンの燃料値上げをめぐる抗議デモから発展した暴動で、同国のトカエフ政権は6日、暴動をテロと位置付け、武力による鎮圧を進めた。タス通信によると、政権側は同国最大の都市アルマトイでの「対テロ作戦」で治安部隊員13人が死亡し、同350人以上が負傷したと発表。デモ側の約2千人を拘束したとした。政権側はデモ側などの負傷者が1千人超に上っているとしたが、死者には言及していない。

インタファクス通信によると、アルマトイの治安当局は6日、銃砲店などが暴徒に略奪されているとし、「数十人を排除し、身元を特定中だ」と発表。地元住民もインターネットを通じて「警察とデモ隊の間で銃撃戦が起きている」と報告し、市内に銃声が鳴り響く動画を投稿している。

これに先立つ5日、トカエフ大統領は2019年まで約30年にわたり同国に君臨したナザルバエフ前大統領が務める安全保障会議議長の役職を同日付で引き継いだと発表。「暴動には厳しく対処する」と述べた。

さらに一部都市で発令していた非常事態宣言を全土に拡大したほか、同国が加盟するロシア主導の「集団安全保障条約機構」(CSTO)に対テロ支援を要請。CSTOは6日、ロシア軍などでつくる治安維持部隊の派遣を決定した。同部隊は政府施設の保護や秩序回復が任務で、既に先遣部隊が現地入りした。

ロシアは「裏庭」とみなす中央アジアの大国カザフで、友好関係にある現政権が崩壊し、親欧米政権が樹立される事態を警戒。治安維持部隊の派遣を通じ、カザフの体制維持を図る思惑だとみられる。

カザフは今年、自動車燃料に使われる液化石油ガス(LPG)の価格統制を撤廃。LPG価格が約2倍に跳ね上がったことに抗議するデモが暴動に発展した。

暴動に至った背景には、産油国でありながらエリート層が利益を独占し、富が国全体に行き渡らない従来の体制への不満や、権威主義的な統治への反発があったとみられている。