【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の朝鮮中央通信は6日、同国の国防科学院が5日に極超音速ミサイルの発射実験を行ったと報じた。発射後に分離した滑空弾頭部分が700キロ先の標的に「誤差なく命中した」としている。韓国軍は北朝鮮が5日朝に内陸部の慈江道(チャガンド)から日本海に弾道ミサイルと推定される飛翔(ひしょう)体1発を発射したと発表していた。
北朝鮮が極超音速ミサイルの発射を公表するのは昨年9月以来。弾道ミサイル本体から分離した滑空弾頭部が音速の5倍以上の速度で低空飛行し、迎撃が困難とされる。報道通りなら、日米韓への脅威がさらに高まったことを意味する。
朝鮮中央通信は、今回の実験が昨年1月の朝鮮労働党大会で示した兵器開発の5カ年計画の「最優先5大課題で最も重要な核心課題を完遂する戦略的意義を持つ」と強調。金正恩(キム・ジョンウン)総書記を指す「党中央」が実験結果に大きな満足の意を表したという。金氏は発射には立ち会わなかったもよう。
実験では、ミサイルの制御性と安定性を再確認し、滑空弾頭部が目標の方角に向け、120キロを「側面機動」したとしている。水平状態を保って左右に変則飛行したことを指すようだ。冬季の気候条件での「燃料アンプル化系統の信頼性」も検証されたという。アンプル化は、液体燃料を事前にカプセルに詰め、従来の液体燃料の注入に比べて即座の発射が可能となる。
党機関紙、労働新聞が掲載した写真では、昨年9月に公開した極超音速ミサイル「火星8」と滑空弾頭部の形状が異なっている。