主要118社アンケート 中国事業「継続」7割 人権問題 新たなリスク

新疆(しんきょう)ウイグル自治区における強制労働などが非難されている中国での事業について、大半の日本企業がこれまで通り続ける方針であることが4日、産経新聞の主要企業アンケートで明らかになった。各社とも人権を含む「中国リスク」は認識しているものの、巨大市場での事業拡大意欲は依然として衰えていない。だが中国批判が高まる中で対応を誤れば、それ以外の国々から人権軽視と受け取られかねず、自社の信頼低下を招く恐れもある。

アンケートは昨年11月下旬から12月中旬にかけて118社に実施した。それによると、「中国との今後の距離感をどう考えるか」との問いに対し、66・1%に当たる78社が中国での事業を「これまで通り続ける」と回答。「より積極的にビジネスを展開する」と答えた5社を加えると70・3%に達した。一方、市場から「撤退したい」と答えた企業はなく、1社が「徐々に縮小する」とした。

今年は日中国交正常化から50周年に当たる。また1日には日本が中国、韓国と初めて締結した経済連携協定である地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が発効したばかりで、日中両国の経済的結びつきは年々強まっている。これまで通り事業を続けるとした企業の多くは、「中国市場は非常に大きい」(自動車)ことを理由に挙げており、収益面で無視できない実情が見て取れる。

もっとも、事業拡大に集中し、人権問題への静観を決め込めば、新たなリスクを呼び込みかねない。日本を含む主要国の政府は企業に対して人権問題への厳しい対応を求めている。中国をめぐっては、2~3月開催の北京冬季五輪・パラリンピックに政府代表を派遣しない「外交的ボイコット」の動きも広がる。ある総合商社は「中国ビジネスがさまざまなリスクを抱えていることは承知している」とするが、そうしたリスクが打撃となる恐れもある。

アンケートではこのほか、米中対立の事業への影響について聞いたところ、29社が「受ける」と回答。「中国で生産している一部製品が米国による追加関税の対象となったため、国内生産に切り替え済み」(電機)といった対応がみられた。

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