米電気自動車(EV)大手テスラが、中国新疆ウイグル自治区に販売店を開設したことが4日までに明らかになり、波紋が広がっている。米政府が中国当局による少数民族ウイグル族への弾圧を非難する中、同自治区に出店するのは「弾圧の隠蔽に加担」していると米議員らから批判を浴びている。
米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、テスラは昨年12月31日、中国の交流サイト(SNS)、微博(ウェイボー)の公式アカウントで、同自治区のウルムチにショールームを設け、営業を始めたと中国語で投稿していた。
投稿には「新疆をEVの旅に乗り出させよう」と書き添えられ、開業時の写真も掲載されていた。
新疆ウイグル自治区をめぐっては、米政府が、中国当局によるウイグル族弾圧を「ジェノサイド(民族大量虐殺)」と認定。イスラム教徒が多いウイグル族への強制労働も問題視し、中国の関係企業への輸出禁止を発動していた。
そのため、ルビオ上院議員は今月3日、「中国共産党が自治区でのジェノサイドと奴隷労働を隠蔽(いんぺい)するのを、(テスラが)手助けしている」とツイッターに投稿し、矛先を向けた。
ロイター通信によると、米国最大のイスラム教徒擁護団体も、テスラの同自治区への販売店出店が「ジェノサイドを支える」ものだと指摘し、厳しい姿勢を示している。(ラスベガス 塩原永久)