小型の自転車を自在に操り、ダイナミックな回転技を決めながら宙を舞う。Z世代に人気が高いスポーツの一つが、自転車BMXのフリースタイル・パークだ。新種目として採用された東京五輪では、日本から中村輪夢さん(19)が5位に入賞した。その中村さんの練習場は、京都府宇治市の山間部にある。練習に集中できるよう、詳細な所在地は非公表。常に世界を意識しながら、日々、技を磨くのは人里離れた環境だ。インターネットを通じ瞬時に情報をやりとりするのが当たり前の、この世代ならではの光景かもしれない。
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近未来を担うZ世代の思考から、社会の未来図をひもときます(全5話)
成長を支えるネット社会
「世界中のライダーはどんどん、ヤバいトリック(技)決めてきますからね」。中村さんが闘志をかき立てられるのは、海外のライバルが新しいトリックに成功したとき。その情報は、主に会員制交流サイト(SNS)を通じてもたらされる。だから、拠点が山中であることのデメリットはない。ネット環境が整っている今、自分が地方に拠点を置いているという感覚はなくなってきたという。