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共通テスト不正 受験生出頭

おうちでドキドキ体験 「人狼コロシアム」のスリル度

運に加え、戦略も重要な要素を占める「人狼コロシアム」
運に加え、戦略も重要な要素を占める「人狼コロシアム」

現役大学生が考案した新感覚のカードゲーム「人狼(じんろう)コロシアム」が話題を集めている。通常の人狼ゲームはプレーヤーが会話をしながら人狼を見つけるが、このゲームは「人狼を見つけない」という〝逆転の発想〟から誕生した。新型コロナウイルス禍で外出を控える人が増える中、考案者は「おうち時間を楽しんでほしい」とPRしている。

深い戦略が必要

ルールは単純明快。裏向きで円形に並べられたカードを1枚ずつ引いていき、人狼を引かずに最後まで生き残れば勝ちだ。カードには「占い師」「霊媒師(れいばいし)」「狩人」といった通常の人狼ゲームでおなじみの役職だけでなく、「ボディガード」や「タフガイ」など人狼を引いたときに襲撃を回避できる便利な役職もそろっている。

考案した関西大学人間健康学部3年の山口陽(ひなた)さん(21)は「運に左右される要素を減らそうと、さまざまな対策を施した結果、カードの種類が増えていった」と説明する。

16種27枚のカードを使うスタンダードセットでも十分に面白いが、「賭博師」「暗殺者」「貴族」などの役職を追加した54種73枚のカードで遊ぶデラックスセットでは、さらに難易度の高いゲームが楽しめる。通常は人狼カード5枚が潜んでいるが、役職カードの効果によっては、人狼が増えたり減ったりすることもあり、勝つためには深い戦略が必要になる。

スマホ没頭に「寒け」

山口さんが人狼コロシアムを考案したのは高校3年のとき。休み時間に同級生らが教室にこもり、スマートフォンに夢中になっている〝沈黙の光景〟を見て、「寒けを覚えた」と振り返る。そこで、ノートの切れ端を使ってカードを作り、休み時間の10分間でできるゲームを考えついた。

人狼の襲撃から守ってくれる「タフガイ」と「ボディガード」
人狼の襲撃から守ってくれる「タフガイ」と「ボディガード」

「負けたときに罰ゲームがあれば盛り上がる。だから、人狼を引いたら負けというルールにしました」

役職を増やすなどブラッシュアップしていき、商品化にあたって令和2年4月にクラウドファンディングを実施。目標金額50万円に対して約197万円もの支援金が集まり、1500セットを売り出した。当初は店舗展開をしようと営業に出向いても、どこにも相手にしてもらえず「学生としての限界を感じていた」と振り返る。

同8月、関西大梅田キャンパス(大阪市北区)が主催する「HACK Academyイノベーションキャンプ」に参加。自分のアイデアを具現化するノウハウや事業化に至るプロセスを学び、構想の実現に向けて動き出す。12月には高校の同級生らを中心に資本金50万円で「TRYBE(トライブ)」を起業し、山口さん自らが社長に就任した。

TSUTAYAの協力が得られたことから、3年春には期間限定ながら「TSUTAYA BOOK STORE 梅田MeRISE」(同区)で店舗展開。動画共有サイト「ユーチューブ」で体験動画をアップしており、将来的な全国展開も視野に入れている。人狼コロシアムは1500セットのうち千セットが売れ、新たに500セットを追加したという。

「人狼コロシアム」を開発した山口陽さん=大阪府吹田市
「人狼コロシアム」を開発した山口陽さん=大阪府吹田市

エンタメと教育の融合を

コロナ禍で希薄になった人と人とのふれあいを取り戻そうと、同社は並行してあるプロジェクトにも取り組んでいる。3年1月に始めたのは、行商型の移動式みそ汁スタンド「HIDANE」。大阪府東大阪市や堺市などに手作りの屋台を引いて、住民らに温かいみそ汁を提供する。料金は利用客の〝気持ち〟だ。

山口さんは「デジタルの発展は素晴らしいが、後世に残したい価値観がある。『もっと温かみのあることをしたい』を合言葉に、エンターテインメントと教育を融合した事業を展開したい」と意気込んでいる。

人狼コロシアムは、スタンダードセット(1800円)とデラックスセット(3千円)の2種。オンラインショップ(https://jinclo.base.shop/)でも取り扱っている。(格清政典)