新春直球緩球

「地域とともに日本の未来創る」 日本商工会議所・三村明夫会頭

インタビューに応じる日本商工会議所の三村明夫会頭=東京都千代田区(酒巻俊介撮影)
インタビューに応じる日本商工会議所の三村明夫会頭=東京都千代田区(酒巻俊介撮影)

――新型コロナウイルスの新規感染者数は大幅に減ったが、中小企業の経営は依然として苦しい

「外出抑制などで人流がストップすれば、サービスの需要は減らざるを得ない。そのため中小企業の中でも、ホテルや飲食といった業種は特に苦しい。われわれの調査によると、約3割の中小企業がコロナ前に比べて売上高が30%以上減っている。生きるか死ぬかの状況だが、これらの企業は今後の日本に必要だ。必ず復活するだろうし、頑張って再生してほしい」

――昨年10月に岸田文雄政権が誕生した

「この30年間、日本は物価も賃金も生産性も上がっていない。日本の1人当たりの国内総生産(GDP)は、2027(令和9)年にも韓国に抜かれるといわれている。これまでは労働人口が増えていたから、生産性が上がらなくてもGDPは増えていた。だが、今後は労働人口の増加は期待できない。やり方を変えないと日本は沈んでしまう。私もメンバーの新しい資本主義実現会議は、そうした問題をどうするかという旗の下にみんなが結集している。春ごろに中長期的なビジョンがまとまると思うが、大いに期待している」

――岸田首相は企業の賃上げを望んでいる

「中小企業の場合、(会社の利益から従業員にどれくらい分配されているかを示す)労働分配率が7~8割もあるため、付加価値が増えない限り賃金は増えない。デジタル化などで生産性を上げ、付加価値を高めないといけない。中小企業はリーマン・ショックや超円高の時に、大企業の経営改善や生産性向上に協力した。だが、生産性が上がった分は大企業に吸い上げられてしまった。それで始まったのが、下請け先と適正価格で取引することなどを表明する『パートナーシップ構築宣言』で、宣言した企業は4400社以上に上る」

――脱炭素化が進む一方で、資源エネルギー価格が高騰し、経営を圧迫している

「脱炭素化の裏で、石油や石炭といった化石燃料への投資が縮小している。投資が減ると、生産能力が落ちて価格は上がらざるを得ない。一方、欧州では(石油に代わって)液化天然ガス(LNG)の価格が、需要の急増などを背景に急騰した。脱炭素化へのトランジション(移行)をどう考えるかが大事だ」

――今年の抱負は

「2年間の新型コロナ対策で学んだことは少なくない。新型コロナとの戦いは日本を再構築しないといけないとみんなが危機意識を持つきっかけにもなった。中小企業には環境変化に柔軟に対応できる能力がある。中小企業が頑張れば、日本の生産性を高められる。大企業には、中小企業を含む取引先のことも考えた新しい資本主義を目指し、原点に立ち返ってほしい。日本商工会議所は6月29日に創立100周年を迎える。今年は地域とともに未来を創っていく覚悟の下、今後の日本をどうすべきか考えることに注力したい」