CD不況といわれて久しい。定額制(サブスクリプション)の音楽配信サービスを利用すれば、千円程度で何千万曲が聞き放題になるのだから無理もない。デジタルの浸透であらゆる「モノ」が淘汰(とうた)される時代に異彩を放つのがアナログレコードだ。生産額はこの10年間で急増し、海外でもブームが起きている。
昨年12月中旬、約3万点のレコードを取り扱う「ディスクユニオン大阪店」(大阪市北区)。平日の昼間ながら、色とりどりのジャケットが並ぶ店内に愛好家が続々と吸い込まれていった。
レコードは同じ曲を収録していても、材質や製造された国・年代によって音質が異なる。客が鋭い目つきで品定めするのは、自身が求めるものかどうかを慎重に見極める必要があるからだ。
値段は新品であれば3千円台が中心。中古は品によるが、中には10万円超の高額商品もある。「特定のジャンルや年代に限らず、幅広い人気がある」と川村健(たけし)店長(44)。店内には、往年の歌手の曲だけでなく、スピッツや中島美嘉さんといった現役アーティストの新譜も並ぶ。新旧のファンが熱視線を送るレコードは、音楽業界で再び有力な選択肢となっている。