明美ちゃん基金

移植待つ子供たちへ 明日への希望届けたい

国内外の心臓病の子供たちを救う「明美ちゃん基金」(産経新聞厚生文化事業団運営)が、来年度から心臓移植を待つ子供たちへの支援を実施することになった。背景にあるのは、伸び悩む臓器提供者数と、それに伴う患者や家族の苦悩。基金の支援は、病に苦しむ子供たちが少しでも明日への希望を見いだせる一助になることを目指している。

コロナ禍で移植減

改正臓器移植法が平成22年に施行され、家族の承諾による脳死下の臓器提供が可能になるなど提供条件が緩和されて以降、国内の心臓移植は徐々に増加。日本臓器移植ネットワークのデータによると、令和元年には過去最多となる84件の心臓移植が行われ、うち20歳未満の患者への移植は17件あった。

しかし、新型コロナウイルスの出現を機に状況は一変。2年は54件、3年も55件と提供数は大幅に減少した。うち10歳未満の件数も元年の7件に対し、2年が5件、3年は3件にとどまっている。これはコロナ禍によって移植を承諾する家族が病院に行けなかったり、医療現場が逼迫していたりした状況が影響したとみられる。

結果的に、国内の心臓移植の待機患者も増加しており、昨年11月末時点で約930人、このうち10歳未満は約50人いる。

空きがない状態

病状が進み、全身に血液を送る心機能が衰えた患者は、補助人工心臓を装着して機能を補い、移植を待たなければならない。

しかし、体が小さな子供が国内で使用できる補助人工心臓は、平成27年に保険適用となったドイツ・ベルリンハート社の「EXCOR(エクスコア)」のみ。国内では12施設に約50台が納入されている。ただ、故障に備えたバックアップも必要なため、日本小児循環器学会移植委員会の副委員長で国立成育医療研究センターの進藤考洋医師は「実際に稼働できるのは全国で30台ほど。そのほとんどが空きがない状態だ」と危機感をあらわにする。エクスコアが必要なのに着けられない子供は、いずれ命を落とすことになる。

エクスコアを装着できても、移植までの待機期間は患者の家族に大きな負担としてのしかかる。病院から離れた場所に住んでいる場合は家族が看病のために引っ越しを伴うこともある。実際、経済的負担から移植を断念するケースも存在するという。

「大きな救いに」

こうした状況を踏まえた基金の支援。国立循環器病研究センター移植医療部長の福嶌教偉(のりひで)医師は「支援は、患者にとって大きな救いになる」と評価する。

もっとも、問題の根本的な解決にはならない。臓器提供が増えなければ患者が助からない状況は続く。求められるのは、移植医療に対する社会の理解の深まりだ。「不幸にも脳死になった患者のご家族に、臓器提供という選択肢があることを伝えられる環境が整備されることを望んでいる」と福嶌医師。さらに「今回の支援を知った方々が、これを契機に家族で、『命とは何か』『死とは何か』といったことを話し合ってもらえればありがたい」と話している。

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