【ワシントン=大内清】米政治学者のイアン・ブレマー氏率いる調査会社「ユーラシア・グループ」は3日、世界が直面する2022年の「10大リスク」に関する報告書を発表し、わずかな感染拡大も許さない「中国のゼロコロナ政策」を1位とした。4位にも「中国の内政」を挙げ、習近平体制による統制的な国内政策が経済など世界に悪影響をもたらすと警告した。
報告書は、中国がこれまでは厳格なロックダウン(都市封鎖)などの強力な手段で新型コロナウイルスの感染拡大の押さえ込みに成功してきたが、それゆえに習体制は、感染力の強い変異株が広がる中でも「従来のゼロコロナ政策を見直すことが不可能になっている」と指摘した。
その上で、中国は今年、感染拡大の封じ込めに失敗する可能性が高く、さらなる経済混乱が生じるほか、政府による社会・経済統制の強化とそれに対する不満の増大を予測。中国経済の低迷が続くことは、世界的なサプライチェーン(供給網)への打撃を深刻化させ、インフレのリスクを増大させると警鐘を鳴らした。
3位には今秋に行われる「米中間選挙」が入った。バイデン現大統領が当選した20年大統領選で深まった米国内の分断や、民主主義システムの機能不全が深刻化し、次期大統領選に向けた「歴史的な転換点」になる可能性があるとした。
報告書はこのほか、国家による統治が及びづらいサイバー空間での巨大IT企業の影響力や、ウクライナ国境付近に兵力を集めて米国に譲歩を迫るロシア、核開発を加速させるイランなどを重大リスクに挙げた。