新春直球緩球

新常態へ『脱・卒コロナ』加速 経済同友会・桜田謙悟代表幹事

インタビューに応じる経済同友会の桜田謙悟代表幹事=東京都千代田区(桐原正道撮影)
インタビューに応じる経済同友会の桜田謙悟代表幹事=東京都千代田区(桐原正道撮影)

――昨年を振り返って

「収束するかと思われた新型コロナウイルスの感染が夏場に再び拡大したが、幸い破滅的な状況にはならずに済んだ。経済的には、K字型といわれているように、業績好調な企業とそうでない企業がある。変異株のオミクロン株には注意が必要だが、全体としては底を打ったと感じている」

――衆院選では自民党などの与党が勝利した

「財政健全化についてのまともな議論がないまま、未曽有の赤字国債に頼ったバラマキに近いことが起きてしまっている。それに対して、衆院選で責任をもった政策や党の方針を示してほしいというのが国民の要望だったのではないか。与党が勝ったというより、野党が負けたというのが正しいと思う。(拡大的な財政運営を主張する)MMT(現代貨幣論)の論者に惑わされなかった国民は立派だ」

――MMT論者は与党の中にもいる

「彼らは国の借金なのでお札をどんどん刷っても心配ない、日銀がいて通貨発行権があるから大丈夫という。だが、それではデフォルト(債務不履行)にはならなくても経済は破壊されてしまう。いずれにせよ、(コロナ禍からの回復で)最悪の事態は避けられたと思うが、今後どう対処していくべきかは明らかになっていない。私もメンバーとなっている新しい資本主義実現会議には大いに期待している。日本再生のラストチャンスだ」

――脱炭素化の取り組みが本格化している

「取り組むべきという段階はとっくに済んでいて、どう成長機会にしていくかが今の課題だ。脱炭素化は生活者が主導すべきで、岸田文雄首相が構築を目指す新しい資本主義や、同友会が提唱する『コーポレートジャパン』は、まさに生活者視点に立脚している。また、脱炭素に貢献する技術や製品を売り、もうけられるようにならないといけない。一方で、懸念はエネルギー政策だ。原子力発電なしで温暖化ガス排出ゼロは達成できない」

――今年のキーワードは

「ウィズコロナは永遠に続くと覚悟しなければならないし、恐れる必要はないと言いたい。コロナとの戦いに明け暮れたこの2年間の経験で、さまざまなことが分かった。日本のデジタル化の遅れを認識し、リモートワークも体験できた。ニューノーマル(新常態)へ向かうという意味で、脱コロナ、あるいは卒コロナをキーワードに挙げたい」

――岸田首相は企業の賃上げに期待している

「安倍晋三内閣のときとは状況が異なる。一つは脱・卒コロナに向かっていること、もう一つは岸田首相が新しい資本主義会議を立ち上げたことだ。こうした状況での賃上げ要請は官製春闘ではない。日本の労働者は貧しくなっている。労働力は付加価値の源泉であり、価値を生むものに対してはきちんと対価を払うようにならないといけない。岸田首相は、新しい資本主義の最初の『振り子』にすべく、賃上げに意欲をみせているのだろう」