時刻表は読み物です

名古屋駅限定 藤井聡太四冠も愛する「ぴよりん」

愛らしい風貌のぴよりん。名古屋駅限定の人気スイーツだ(ジェイアール東海フードサービス提供)
愛らしい風貌のぴよりん。名古屋駅限定の人気スイーツだ(ジェイアール東海フードサービス提供)

国鉄の大規模ダイヤ改正「よん・さん・とお」(昭和43年10月)を掲載した時刻表の復刻版がこのほど、JTBパブリッシングから発売された。東北線の複線・電化や特急増発などのダイヤを眺めるのも楽しく、欄外などで紹介されている各駅駅弁や旅のお土産になる名産品も懐かしい。

京都駅なら八ツ橋、東京駅なら雷おこし、鹿児島管内主要駅では兵六餅など。どれも歴史ある一品で買ったり、もらったりした思い出がある。博多駅は何があるかと見ると「ひよこ」。あんこが詰まったヒヨコの形をしたまんじゅうで、頭か後ろか、どこから食べたらいいか迷ったものだ。

このひよことは別物だが現在、同じくヒヨコの姿をした名古屋駅のスイーツが大人気だ。その名は「ぴよりん」。名古屋コーチンの卵を使ったプリンをババロア、スポンジで包んだ洋菓子(380円、税込み)。今夏で誕生10周年を迎え、これまで200万個以上が売れた。すべて手作りというこだわりの味はもちろん、とぼけた感じも含んだ愛らしい表情も人気の理由だ。

 昭和43年当時、名古屋駅で販売されていた名産と特殊弁当。価格が時代を感じさせる(時刻表復刻版1968年10月号から)
昭和43年当時、名古屋駅で販売されていた名産と特殊弁当。価格が時代を感じさせる(時刻表復刻版1968年10月号から)

ジェイアール東海フードサービスが製造し、販売は名古屋駅構内の店舗限定。「丸くて、小さくて、かわいい」をキーワードに新しい名古屋名物を考えていたところ、女性パティシエの「ひよこなんてどうだろうか」という思いつきから生まれた。デビュー以来、ハロウィーン仕様、車掌さん仕様など期間限定バージョンも人気を集め、認知度は高まっていった。

そんな中、さらなるブレークのきっかけが訪れた。将棋の藤井聡太四冠が令和3年6月に名古屋市で行われた王位戦のおやつに「ぴよりんアイス」を選んだのだ。アイスは名古屋マリオットアソシアホテルとコラボした期間限定メニュー。これがメディアで報道されると、ぴよりんは完売が続いた。

また、お取り寄せや通販の問い合わせが殺到しているが、大量生産ができず、熱や振動に弱いため、対応していない。それを逆手にとって、SNS上では無傷で持ち帰る「ぴよりんチャレンジ」が流行し、はかなくも崩れ落ちた写真などがアップされている。新幹線で持ち帰る場合のコツは「暖房周りに気を付けるほか、イスよりも水平を保てる机に置くこと」という。

名古屋を出たことがなかったぴよりんだが、同年10月にイベントで静岡に「おでかけ」した。保冷性や振動に対応した器具で連れ出し、無事に現地のファンと対面した。担当者によると、今後のおでかけは「複数の都市を候補地として検討している」という。名古屋に行かずとも、キュートなぴよりんに会える日が楽しみだ。(鮫島敬三)