川村妙慶の人生相談

受験生の母 飲み会控えない夫にイライラ

イラスト・千葉真
イラスト・千葉真

相談

50代女性。夫について相談します。子供(高校3年、中学3年の2人)が受験を控えているため、この冬は感染症の対策に特に気を付けています。

夫は優しく頼りになり、自分より周りの人を優先する申し分ない人です。しかし仕事の立場上、忘年会や新年会の幹事を毎年引き受けており、今年も出席すると言い出しました。

私は夫に「今年だけは欠席してほしい」と頼みましたが、会のみんなに申し訳ないのと、自分も参加したいと言い、譲りません。

学校で「不要不急の外出は控えるように」と言われ、それをきちんと守る子供達も父親にあきれ、失望しています。

子供に愛情を注ぎ、子育てにも積極的な夫の意外な言動。私はどう対処すればよいでしょうか。

回答

ようこそお便りくださいました。新型コロナウイルスの勢いが弱まったといえど、警戒しなければなりません。懇親会出席は受験を控えたお子さんに示しがつかなくなりますね。あなたがご家族をいかに大切に思っておられるかが伝わります。

さて、連れ合いさんは仕事を潤滑にするためのコミュニケーションに重きを置いておられるようです。親鸞聖人の弟子、唯円が書いたとされる「歎異抄(たんにしょう)」には、「善悪のふたつ総じてもって存知せざるなり」という親鸞聖人の言葉があります。どれが本当の「善」で、どれが本当の「悪」なのか、私たち凡夫には決められないということです。

私たちには自我の心があり、それぞれに「ものさし(自分の常識)」を持っています。自分の常識に当てはまれば納得できますが、納得できないと相手を悪として責めようとする心があるのです。そのように、自分の常識(善)を相手に押し付けてしまうと、相手は追いつめられたように感じ、自我を守るために反発してしまう。そして最終的に喧嘩(けんか)になってしまう。

かくいう私も凡夫の身。意見が合わず家族と対立しかけたこともあります。そんな私に、師匠は「人間は善と悪の意見があって対立するのではない。善と善が戦いを作るのですよ」と教えてくださいました。

「自分は善人」と思って相手に意見を突きつけて、伝わらずに相手を「悪」のように感じることもあるでしょう。しかし冷静になると、考えを押し付けようとしていたのはむしろ自分と気づくことがあります。

感染の不安がなければ、気持ちよく懇親会に送り出してあげたい。そんな気持ちをお持ちならば、ルールを決め、例えば懇親会後の一週間はホテルに宿泊していただくのはどうでしょうか? 今回は家族のあり方を再確認するチャンスだと考えてみてください。明るく話し合える時間となることを念じています。

回答者

かわむら・みょうけい 僧侶兼アナウンサー。昭和39年生まれ。ラジオのパーソナリティーとして活動するほか、ブログで法話を日替わり更新中。著書に、「泥の中から咲く 身と心をほぐす18の知恵」(NHK出版)や、「人生後半こう生きなはれ」(講談社+α新書)などがある。

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