北京五輪

頂点へ決意の冬「100%で取りにいくのは最後」 ノルディックスキー複合、渡部暁斗

W杯複合男子団体第1戦、後半距離に挑む渡部暁斗。北京では頂点だけを見据える=昨年12月、リレハンメル(共同)
W杯複合男子団体第1戦、後半距離に挑む渡部暁斗。北京では頂点だけを見据える=昨年12月、リレハンメル(共同)

ノルディックスキー男子複合のエース、渡部暁斗(北野建設)は、北京冬季五輪を目前にして、1つの決意がある。「100%自分のために時間を使って金メダルを取りにいくのは最後。そのくらいの覚悟を持って臨んでいる」

銀メダルを獲得し、表彰式で喜びを表す渡部。北京では頂点に立つ-=2018年2月、平昌
銀メダルを獲得し、表彰式で喜びを表す渡部。北京では頂点に立つ-=2018年2月、平昌

五輪は2006年トリノ大会から連続出場。2大会連続で銀メダルを手にしたが、「メダルが大事なのではなく、自分がそれまでやってきたことが大事だと思ってやってきた」。年間を通して戦うワールドカップ(W杯)個人総合王者にこだわり、17~18年シーズンにはその座についた。

世間の反応が考えを変えるきっかけになった。特にメダルを見た子供たちが目を輝かせる姿に、「これがきっかけで何かのスイッチが入る子供もいるかと思うと、取った意味がある」と思い知った。五輪金メダルは未踏の地でもあり、「登山に例えれば、登ったことがない山があるから登ってみたい」。シンプルに、そう思えるようになった。

前回の平昌五輪後は壁にぶつかった。上半身を大きくする肉体改造などがはまらず、18~19年シーズンのW杯は未勝利。19~20年シーズンは個人総合9位に終わった。結果を見れば失敗だったが、「やってみないとわからないことはたくさんある。それはそれでよかったと思える時間」と進化を模索し続けた。開幕前から飛躍の大幅改造に着手した昨季は個人総合3位と、成績をV字回復させた。

20年11月に長男が誕生。北京五輪後は練習量を減らし、家族との時間を作るなど新たな競技スタイルを思い描く。それ故、北京五輪で頂点を狙う気持ちは今まで以上に強い。「3大会連続のメダルではなく、金メダルを取ることを最後まであきらめずに挑戦していきたい」。夢舞台に、培ってきた全てをぶつける。(運動部 小川寛太)

わたべ・あきと 1988年5月26日生まれ、長野県出身。長野・白馬高在学中の2006年にトリノ五輪出場。14年ソチ、18年平昌で個人ノーマルヒル銀メダル。世界選手権は09年に団体で金、17年は個人ラージヒルで銀。17~18年にW杯総合優勝を果たした。