新大河ドラマ「鎌倉殿の13人」 三谷幸喜が描く〝苦い勝者〟

「鎌倉殿の13人」の主人公、北条義時(小栗旬)
「鎌倉殿の13人」の主人公、北条義時(小栗旬)

野心とは無縁だった若者が、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか―。9日に始まるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」は、鎌倉幕府の2代執権・北条義時が主人公だ。源平合戦から鎌倉幕府の成立、血で血を洗う権力争いを経ての北条家の勃興が、三谷幸喜の脚本で描かれる。「苦い勝者」。制作統括の清水拓哉チーフ・プロデューサーは主人公の義時をこう表現する。(本間英士)

義時役を演じるのは小栗旬。三谷は近藤勇が主人公の「新選組!」(平成16年)、真田幸村の生涯を描いた「真田丸」(28年)に続く3度目の大河執筆となる。

「これまで『滅びていく者たちの輝き』を描いてきた三谷さんが、今回は『歴史の勝者』を描きたい、と言っています。しかし、ただの勝者ではありません。勝利の過程で傷つき、多くの人を傷つけた〝苦い勝者〟を描きたい、と」

北条家に興味を持っていたという三谷。その中で、白羽の矢が立ったのが義時だ。もともと伊豆の小豪族にすぎなかった北条家。この地に源頼朝が流刑になったことが、義時の人生を一変させる。

「義時は偶然、歴史の表舞台に引っ張り出されちゃった人。何てことのない家の次男坊が天下取りに巻き込まれ、周囲のクセのある人々に翻弄されながら成長していく。そして、ある意味で頼朝をしのぐ大権力者になっていく…。相当ドラマチックです」

源頼朝(大泉洋、右)に問いかける若き日の北条義時(小栗旬)
源頼朝(大泉洋、右)に問いかける若き日の北条義時(小栗旬)

「鎌倉殿」とは鎌倉幕府将軍のこと。かつて天下取りを支えた13人の有力家臣団は頼朝の死後、合議制の名の下で激しい内部抗争を繰り広げていく。

「合議制とはいえ『みんなで話し合いましょう』という生易しいものじゃなく、それぞれの思惑が複雑に絡み合っていた。力を合わせて鎌倉幕府をつくり上げた功労者たちが、今度はお互い争い合う。その歴史的皮肉を、群像劇の名手である三谷さんが真正面から緻密に作り上げています」

物語では、京の後鳥羽上皇が義時討伐の兵を挙げる「承久(じょうきゅう)の乱」も描かれる。義時は武家政権の命運を懸け、決戦に挑む。

「北条家の物語は日本人が800年ずっと面白がってきた物語。題材として面白くないはずがない。そして、三谷作品の魅力はエンターテインメントであること。(視聴者を)毎回驚かせ、笑わせ、感動や高揚に行きつくよう作られています。歴史に詳しい人も、詳しくない人も、それぞれが楽しめる作品です」

あらすじ】伊豆の若武者・北条義時(小栗旬)の運命の歯車は、姉の政子(小池栄子)と流罪人であった源頼朝(大泉洋)の結婚を契機に回り始めた。治承4(1180)年、頼朝は坂東武士団を結集。繁栄を謳歌(おうか)していた平家に反旗を翻した。小豪族にすぎない北条一門もこの大ばくちに乗り、ついには平家一門を打ち破る。頼朝は鎌倉幕府を開き「鎌倉殿」になるものの、その絶頂期に謎の死を遂げる。激しい内部抗争を繰り広げる13人の家臣団。その中で最後まで生き残り、権力を手中に収めたのが、13人中最も若い義時だった。