【芸能インサイド】女優3人の〝手弁当〟映画が海外で脚光 映画愛で共感浸透

女優の福宮あやの、広山詞葉、河野知美(左から)。3人の自主製作映画が海外で注目されている(石井健撮影)

3人の女優が〝手弁当〟で作った自主映画が、欧州などの映画祭で次々と賞をとり注目されている。コロナ禍で仕事も人とのつながりも奪われ、矢も楯もたまらず作ったが、「国境を越えて映画で一つになれる」と今は笑顔を輝かせる。3人に話を聞いた。

この映画は「truth(トゥルース)~姦(かしま)しき弔いの果て~」。イタリアやドイツ、英国、インド、カナダなどの映画祭で、最優秀作品賞などすでに7冠に輝いている。

広山詞葉(ことは、36)、福宮あやの(38)、河野知美(40)という3人の女優が企画し、資金も調達。もちろん主演もこなしている。

新型コロナウイルスの感染拡大ですべての仕事がなくなった広山が、「表現していないと生きている意味がない。何かできないか」と昨年9月、福宮と河野に声をかけたのが発端。

福宮は「地位が確立された有名な方々よりも私たちのような女優のほうが、何かをしなくてはという焦りを痛感していたのでは」と振り返る。

そこで3人は映画製作に乗り出す。製作費の約700万円は、文化庁の助成金でまかなった。もっとも入金までの当座は、3人で立て替えてしのいだ。報酬はない。

監督選びは難航したが、堤幸彦(66)が参加を申し出た。「嵐」のコンサート記録映画も記憶に新しいヒットメーカーだ。「この状況下で、こんなに前向きな人たちは見たことがない」。自身の映画監督50作の節目となる作品に、この自主映画を選んだ。

「前向きというか、女の強さだね」と河野。福宮が「『まじ? ありえないんだけど』と愚痴っても、『じゃあ、どうする?』っていえるのが女の強さ」と続ける。福宮は、平成7年の阪神大震災で被災した。ガスと水道が止まったが、「なんとかなる」と笑い飛ばした母親の姿が記憶に焼きついている。

この映画も「女性による女性のための映画」だという。「ホラーだねっていう男性もいらっしゃる。そう思っていただけたら私たちの勝ちかな。女って怖いものだよって話ですから」と河野は語る。

亡くなった資産家の男のアトリエで、3人の女性が鉢合わせする。いずれも男の恋人。自分こそが本命だと争い始める。3人の会話劇だが、カメラワークや色調など映像作品ならではの魅力にあふれる。

堤監督は、シュールで過激な笑いなど「欧州では受ける」と、はなから確信していたという。それでも、広山は「まさかこんなに…」と海外での反応に驚いている。

広山は先月末、河野と英国にいた。作品とともに初めて海外の映画祭に参加した。絶賛され、質問攻めにあった。コロナ禍で孤立したことがきっかけで生まれた映画だった。広山は確信した。

「映画で人は一つになれる」

「truth(トゥルース)~姦(かしま)しき弔いの果て~」は1月7日から東京・シネマカリテ、大阪・シネ・リーブル梅田などで全国順次公開。1時間11分。

共演に佐藤二朗。ただし写真だけの〝出演〟。脚本は、NHK大河ドラマ「八重の桜」などの三浦有為子(ういこ)。性に関する表現が多く、映倫は小学生以下の鑑賞には親の判断が必要だとしている。

ふくみや・あやの 昭和58年生まれ、兵庫県出身。関西大卒。平成23年に声優としてデビュー。26年から毎年、朗読劇公演。福々亭和顔(ふくふくてい・わがお)として高座にのぼる他、司会やナレーターとしても活躍。一児の母。女優としては今回が本格的な女優デビュー。

ひろやま・ことは 昭和60年生まれ、広島県出身。日大卒。映画は「ヘルタースケルター」(24年)「ファーストラヴ」(令和3年)など。「最後から二番目の恋」「軍師官兵衛」などドラマも多数。平成29年から映画の企画、プロデュースも手掛け、「今夜新宿で、彼女は、」(平成29年)を製作。

こうの・ともみ 昭和56年生まれ、神奈川県出身。「父の愛人」(平成25年)で映画初主演。他に「彼方より」(令和2年)など。ドラマはNHK大河ドラマ「西郷どん」(平成30年)など。外資系企業の会社員。英語力を生かして、海外のドラマシリーズにもレギュラー出演。

©2020-2022 The Sankei Shimbun. All rights reserved.