北京パラ

「二刀流」集大成、心の迷い消えた パラアルペンスキー村岡桃佳

アジアカップ野沢温泉シリーズで滑降する村岡桃佳=2021年4月
アジアカップ野沢温泉シリーズで滑降する村岡桃佳=2021年4月

東京パラリンピックの陸上女子100メートル(車いすT54)に出場したアルペンスキー女子のエース、村岡桃佳(トヨタ自動車)は、北京冬季パラリンピックを「二刀流のゴール」と位置づける。「走り続け、最後は笑って終われるようにしたい」。目標に掲げるのは、2大会連続の表彰台だ。

21歳で出場した2018年平昌大会のアルペン種目で、金1、銀2、銅2の計5個のメダルを獲得し、一躍ヒロインとなった。しかし、その後は周囲の期待の大きさを負担に感じ、自身に重圧をかけすぎる悪循環に陥った。当時の様子を「精神的にギリギリの状態。つらくて逃げ出したかった」と振り返る。

スキーへの思いをリセットするきっかけが、憧れを抱いていた車いす陸上への挑戦だった。始めたころは思うように走れず、「なんでこんなことをやると言ったんだろう」と悔やんだ。それでも、拠点に選んだ岡山の実業団チーム、WORLD―ACの仲間と切磋琢磨することで、厳しい練習を継続できた。

東京パラでは6位入賞。冬季とは異なる充実感を味わい、踏ん切りがついた。久々の雪上練習では「改めてスキーが楽しいな、好きだなと思えた」という。車いす陸上のトレーニングによる副産物もあった。体幹が鍛えられ、荒れたコースでも安定して滑れるようになった。「これまでとは違う体の使い方が可能になり、いろんな雪面に対応できるようになった」と手応えを口にする。

一方で、二刀流挑戦により、雪山から遠ざかったハンディも認識している。だが、もう心に迷いはない。「平昌で5つのメダルを取ったとはいえ、金は1つだけ。挑戦者という気持ちは変わらない」。冬の北京で再び輝くため、全力を尽くす。(運動部 北川信行)

むらおか・ももか 1997年3月3日生まれ、埼玉県出身。トヨタ自動車所属。旗手を務めた平昌パラで日本人選手史上最年少の金を含め、メダル5個獲得。2019年春から車いす陸上に本格的に取り組み、東京パラに出場。北京は3度目の冬季パラとなる。