3度目の五輪イヤーを迎えた。ノルディックスキー女子ジャンプの高梨沙羅(クラレ)が悲願の金メダルへ再び挑む。飛躍をすべて見直す覚悟で臨んだ4年間。「成長した自分を見てほしい」。力強い言葉に自信をのぞかせた。
見直し作業は手探りで、「最初の2年は本当にうまくいかなくて、考えていたことと体がリンクしていなかった」。ワールドカップ(W杯)でも2018~19年シーズンから2季はともに1勝だったが、北京冬季五輪での戴冠(たいかん)のためと改良の足を止めなかったことで昨季光が見えた。助走姿勢が安定し、W杯で3勝。今季は空中姿勢にまで手を付け、「自分のジャンプが出来上がりつつある」という。
体調にも気を配った。試合後など寝付けない日は、リラックス効果がある「パロサント」を使い、「好きな香りをかぎながら、ベッドで考え事をしていると寝てしまう」。常に8時間睡眠を心がけて、心身をリフレッシュさせてきた。
メダルを逃した14年のソチ五輪後、飛躍に失敗する悪夢を何度も見た。今も試合が近づけば「ジャンプの夢を見る頻度は高くなる」というが、内容は前向きになった。「飛んだままどこかに行ってしまう。楽しく飛んでいる」。北京の地で正夢にする。(運動部 小川寛太)