朝晴れエッセー

感謝~新たな一歩・1月1日

5年前、私は片方の胸を失った。

それはちょうどSMAPの解散の時期で、私は病室のベッドでスマホの小さな画面を見ながら、時代の変化とともに自分自身も新たなスタートに立たされていることを感じた。

罹患(りかん)してからというもの、胸をはじめ髪の毛や仕事、社会とのつながりなどさまざまなものが私から消えていった。

でも決して私は不幸を感じたことはない。もちろん、悔しさがなかったわけではないが、自分を惨めに思ったことはない。

治療中、普通に生きていたら経験しないであろうウィッグや帽子を楽しむこともできたし、自分自身をゆっくりと見つめ直す良いきっかけともなった。

そして何よりも、結婚することができた。

病人と結婚するなんて、もの好きな男だなと感じる方もいるかもしれないが、彼にとっては、人より経験値や世界観が高まるだけのことらしい。私の夫ながら、なんともカッコイイ男ではないか。

これから先、どうなるかは分からない。でも「自分がどうしたいか、どう生きたいか」は変わらずはっきりしている。

たくさんの人に愛され、支えられ、生かされていることに心から感謝し、少しでも恩返しができるように…こんな私だからこそできることがあるのだ。

肩まで伸びた髪の毛が、冬の冷たい風になびく。さあ、新しい時代の幕開けだ。たくさんのありがとうを握りしめ、また一歩前へ。


高橋あゆみ(37) 仙台市青葉区