〈独自〉「グリーンGDP」政府検討 新指標研究 経済成長に環境加味

政府がこれまでの国内総生産(GDP)とは別に、脱炭素化の状況を考慮して国富を算出する新たな経済指標「グリーンGDP」の導入に向けた検討を始めることが31日、分かった。気候変動問題への関心が国際的に高まる中、経済成長に環境影響を加味した新指標を作ることで国内の取り組みを後押しする。内閣府が来年度から民間調査機関と共同で研究を始める。

新指標では国内の二酸化炭素(CO2)排出量を金額ベースに置き換え、排出が増えれば追加の削減費用が必要になるためGDPが下振れし、逆に排出削減の取り組みが進めば上振れする仕組みを想定している。

ここ数年は排出削減の取り組みが進んでいるため、新指標を取り入れた場合は従来のGDPより経済成長率が上振れする見通しだ。

GDPは一定期間にその国で生み出された付加価値の合計を表し、経済規模を測る代表的な指標となる。環境影響が盛り込まれていないことは過去にも問題点として指摘され、1993年の国連勧告に基づく国際的な統計手法の改正を受け、日本を含む各国で試算が行われた時期もあった。ただ、CO2排出量を金額換算する際の正確性に課題があり、2003年の手法改正後は取りやめられた。

政府はその後の統計手法の進歩や、気候変動問題への国際的な関心の高まりを踏まえ、日本独自でも経済影響を正確に把握する手法の開発が必要と判断した。来年度予算案に必要経費3400万円を計上し、新指標導入につなげる方針だ。

政府は2030年度にCO2などの温室効果ガス排出量を13年度比で46%削減し、50年までにゼロとする目標を国際公約で掲げた。とはいえ、CO2削減に価格を付ける制度「カーボンプライシング」は欧州や中国などに比べ検討が遅れ、炭素税を含む新たな制度の導入は産業界などの慎重姿勢もあって進んでいない。

新指標を用いれば、脱炭素化の取り組みが国富に与える具体的効果や、経済成長との関係をデータで〝見える化〟できるため、政府は企業などの排出削減を後押しすると期待している。