拉致啓発決議 大阪の26議会で採択も温度差否めず

北朝鮮による拉致問題をめぐり、大阪府内の26議会が啓発活動推進などの決議を採択したことが31日、産経新聞の取材で分かった。全44議会の約6割に上る。全会一致は21議会だが、なかには啓発活動に「賛同する」と慎重な表現にとどめた議会も。啓発活動推進の決議は大阪だけでなく、奈良県議会や千葉市議会にも広がっているが、さらに波及させる上で府内の温度差解消が課題といえる。

令和4年は横田めぐみさん(57)=拉致当時(13)=が拉致された疑いが浮上し、「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」(家族会)が発足してから25年となる。府内超党派の地方議員でつくる大阪拉致議連は、未採択の議会に引き続き働きかける方針だ。

府内の21議会は全会一致とはいえ、採択に至るまでの事情はそれぞれ異なる。堺市議会では大阪維新の会の決議案と、自民党や公明党、無所属議員による案の2案が提出された。

維新案は理解を深める手段として、めぐみさんを題材にしたドキュメンタリーアニメ「めぐみ」の上映などを具体的に列挙したが、一部で「教育に対する政治の介入になる」との懸念が強く、市議会はそれらを削除した自公案を採択した。

維新市議が「実効性のない決議」と批判する一方、自民市議は、維新案に反対の会派があったとして「最大公約数の内容で他会派の同意を得なければ物事は進まない。議会の総意である全会一致を優先した」と語る。

河南町議会は、決議のタイトルに「推進する」との文言を入れず、決議文の締めくくりは、アニメ「めぐみ」の上映などを通じた拉致問題への理解を深める取り組みに「賛同する」とした。ほかの議会が「推進する」などと表明する中で慎重な姿勢を示した形だ。

自民党系会派の町議は「啓発活動の推進に反対するわけではないが、すぐに実行できるものとできないものがある。決議は責任を伴うもので、考え方に賛同するとした」と説明する。ただ44議会で足並みをそろえた形の採択を目指してきた議連内には「活動に賛同する、というのは当然の話だ」との不満も漏れる。

令和3年中の採択に向けて調整してきた茨木市議会では一部の議員が「教育への介入」を理由に反対。全会一致の原則を踏まえ、決議案の提出は見送られた。

救う会の西岡力(つとむ)会長は、府内の約6割の議会が決議した結果に「小中学校の教育を所管する市町村の議会が啓発活動を推進すると決議した事実は大きい」と評価。「拉致問題は人権問題であり、反対する理由が分からない。各議会で調整して採択に向けて進めてほしい」と述べた。