廃校の体育館でメダリスト育てた千葉・香取の体操クラブ

東京五輪の体操男子・種目別鉄棒で金メダルに輝いた橋本大輝選手=8月3日、有明体操競技場(川口良介撮影)
東京五輪の体操男子・種目別鉄棒で金メダルに輝いた橋本大輝選手=8月3日、有明体操競技場(川口良介撮影)

新型コロナウイルスの感染拡大による1年の延期を経て、無観客で開催された東京五輪。日本代表選手の活躍が、ふさぎ込みがちだった国民を励ましたのは記憶に新しい。体操男子個人総合での史上最年少の金メダルなど、団体を含めて3つメダルを獲得した橋本大輝選手(20)=千葉県成田市出身=の原点は、同県香取市の廃校の体育館を練習場所とした体操クラブだった。今月、橋本選手とともに同クラブにも市民栄誉賞が贈られ、橋本選手に体操の基本を叩き込んだ山岸信行監督(65)の地道な活動が改めて脚光を浴びた。

橋本選手は7月26日、体操男子団体のメンバーとして銀メダルを獲得。その後、同28日に個人総合、8月3日には種目別鉄棒で金メダルに輝いた。

橋本選手の活躍で注目が集まったのが、橋本選手が中学卒業まで所属した廃校の体育館を練習場所とする体操クラブだった。

「約40年指導してきてオリンピック選手は初めて。私にとっては〝40年に1度〟のオリンピックだ」。「佐原ジュニア体操クラブ」で橋本選手を約10年間指導した山岸監督は、教え子の活躍をそう喜んだ。

橋本大輝選手は中学3年まで、千葉県香取市の佐原ジュニア体操クラブで練習に励んでいた=7月28日(長橋和之撮影)
橋本大輝選手は中学3年まで、千葉県香取市の佐原ジュニア体操クラブで練習に励んでいた=7月28日(長橋和之撮影)

橋本選手は、兄2人の後を追って6歳のときに同クラブで体操を始めた。同クラブが拠点とするのは、市町村合併に伴い廃校となった旧香取市立沢小学校の体育館。体育館に並ぶ体操器具は、山岸監督が自費で購入したものだ。ピットと呼ばれるスポンジのプールがないため、高度な技の練習はできない。だが山岸監督は「できる練習はたくさんある」といい、基本を徹底して教える。橋本選手も、中学卒業まで同クラブで美しい演技の基本となる姿勢を学んだ。

その後、市立船橋高校へ進学。同校体操部の大竹秀一監督(43)も同クラブの卒業生。「難しい技はできなかったが、クセがなく、素直な体操をしていた。(山岸)先生が土台を作ってくれていたので、指導がしやすかった」(大竹監督)と、指導に一貫性があったことも好影響を与えた。